ドルフィンスルーが疲れる原因とは?楽に沖に出るためのコツと改善策

ドルフィンスルーが疲れる原因とは?楽に沖に出るためのコツと改善策
ドルフィンスルーが疲れる原因とは?楽に沖に出るためのコツと改善策
上達・テクニック・陸トレ

サーフィンを始めたばかりの頃、誰もがぶつかる大きな壁があります。それは「ドルフィンスルー」です。何度も波に押し戻され、気づけば腕はパンパン、息は絶え絶え…。
「なんで自分だけこんなに疲れるんだろう?」「沖に出るだけで体力の半分を使ってしまう」そんな悩みを抱えていませんか?実は、ドルフィンスルーで極端に疲れてしまうのには、明確な理由と解決策があります。力任せに沈めようとするのではなく、波の力をうまく利用し、自分の体重を効率よく使うコツさえ掴めば、驚くほど楽に沖へ出られるようになります。この記事では、ドルフィンスルーが疲れる本当の原因から、明日から実践できる具体的なテクニック、そして陸上でできるトレーニング方法までを詳しく解説します。もう、パドルアウトで力尽きるのは終わりにしましょう。

なぜドルフィンスルーは疲れるのか?主な原因をチェック

ドルフィンスルーですぐに疲れてしまう人には、いくつかの共通点があります。「体力がないからだ」と自分を責める前に、まずは技術的な原因や環境的な要因を知ることが大切です。疲れの根本原因を知ることで、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。

腕の力だけでボードを沈めようとしている

最も多い原因が、腕の筋力(特に上腕三頭筋)だけに頼ってボードを沈めようとしているケースです。サーフボードは浮力が強いため、これを腕力だけで水中に押し込むのは、陸上で常に重いバーベルを持ち上げているようなものです。これでは数回ドルフィンをしただけで、すぐに筋肉が悲鳴を上げてしまいます。

上手なサーファーは、腕の力ではなく「体重」と「タイミング」を利用しています。上半身をボードに預けるようにして沈めることで、小さな力で深く潜ることができるのです。腕がすぐにパンパンになる人は、この「体重移動」がうまくできていない可能性が高いでしょう。

波のエネルギーと真っ向勝負している

波が崩れて白波(スープ)になった状態は、岸に向かう凄まじいエネルギーの塊です。このエネルギーに対して、タイミング悪く突っ込んでいたり、潜る深さが足りなかったりすると、波の力に押し戻されてしまいます。押し戻されると、元の位置に戻るために再びパドリングをしなければならず、これが体力を激しく消耗させます。

また、波の衝撃を体全体で受け止めてしまっている場合も同様です。本来は波の下を「すり抜ける」べきなのに、波と「衝突」してしまっていては、どんなに体力があっても持ちません。波のパワーゾーンを避けて通る技術が不足していると、無駄な戦いを強いられることになります。

呼吸が浅くなり酸素不足に陥っている

次から次へと波が来ると、焦って呼吸が乱れがちです。特にドルフィンスルーの直前まで息を止めていたり、水中で苦しくなって急いで浮上したりすると、体内の酸素供給が追いつかなくなります。筋肉を動かすには酸素が必要ですが、呼吸が浅い状態では乳酸がたまりやすく、結果としてすぐに疲労を感じてしまいます。

「波に巻かれるのが怖い」という恐怖心から、体がこわばって過度な緊張状態にあることも、酸素消費量を増やす原因です。リラックスして深い呼吸を意識するだけでも、スタミナの持ちは大きく変わります。

ボードの浮力と自分の体重が合っていない

道具選びも重要な要素です。初心者のうちはテイクオフを早くするために浮力の大きい(ボリュームのある)ボードを選ぶことが多いですが、浮力が大きければ大きいほど、ドルフィンスルーで沈めるのは困難になります。

自分の体重に対してボードの浮力が大きすぎると、どんなに正しいフォームで沈めようとしても、物理的に深く潜ることができません。結果として波のインパクトを食らいやすくなり、体力だけが削られていくという悪循環に陥ります。技術の問題なのか、道具のバランスの問題なのかを見極めることも大切です。

疲れを軽減するドルフィンスルーの基本フォーム

ドルフィンスルーの疲れを減らす最大の特効薬は、正しいフォームを身につけることです。「沈める」のではなく「潜り抜ける」感覚を養いましょう。ここでは、体力を温存しながら波をクリアするための技術的なポイントを5つに分けて解説します。

アプローチのスピードをつける

ドルフィンスルーをする直前、パドリングを緩めていませんか?実は、これが失敗の大きな原因です。スピードがない状態で沈もうとすると、ボードは真下にしか沈まず、前進する推進力が生まれません。自転車と同じで、ある程度のスピードがないと安定せず、波の力に簡単に負けてしまいます。

波が近づいてきたら、むしろ強くパドルをして加速をつけてください。勢いがある状態で水中に飛び込むことで、その慣性が働き、スムーズに波の裏側へと抜けることができます。スピードは「武器」であり、波を貫通するためのエネルギー源だと考えましょう。

腕ではなく「体重」を使ってノーズを沈める

ボードのノーズ(先端)を沈める際、肘を伸ばしきった状態で、肩の真下に手をつくようにします。そして、腕を曲げて押し込むのではなく、自分の上半身を前のめりに倒し込み、全体重をハンドル(レール)に乗せるイメージで行います。鉄棒で逆上がりをする前の動作に似ているかもしれません。

ポイント:
腕力で「押す」のではなく、体を「被せる」感覚です。お腹に力を入れ、重心を高く上げてから一気に前方の水中へ体重を移動させましょう。

この時、目線はボトム(海底)ではなく、少し前方を見るようにすると、自然と体が前方向へ誘導されます。腕の力を使わずにノーズが沈む感覚を掴めれば、疲労度は劇的に下がります。

足を使ってテールを深く押し込む

ノーズが沈んだら、次はテール(後方)を沈める必要があります。ここで使うのが足の力です。つま先、または膝をデッキパッド(テールの滑り止め)の中心に置き、真下ではなく「斜め後ろ」に向かって蹴り込みます。

片足でしっかりとボードを蹴り込むことで、ボード全体が水中で水平、あるいは少しノーズが上がった状態になり、波の下を潜り抜ける推進力が生まれます。足の力は腕の数倍強いため、ここを意識することで腕への負担を大幅に減らすことができます。膝を使うかつま先を使うかは好みですが、深く潜りたい場合はつま先立ちで蹴り込む方が、より強い力を伝えやすいでしょう。

水中で「放物線」を描くイメージを持つ

ドルフィンスルーは、単に「沈んで・浮く」だけの上下運動ではありません。波の下をくぐるための「放物線(U字のカーブ)」を描く必要があります。深く潜った後、すぐに上がろうとしないでください。波のスープ(白波)が自分の上を通り過ぎるまで、水中で一瞬ステイする余裕が必要です。

水中でボードをフラット(水平)に保つことで、水の抵抗を最小限に抑えることができます。ノーズが下を向きすぎていると海底に刺さる危険があり、逆に上を向きすぎていると波に腹を叩かれて戻されます。水中で「伸び」をするように体を一直線にし、波が通り過ぎるのを待つ。この「待ち」の時間が、疲れを軽減させる重要な鍵です。

浮上時は浮力を利用し、かき上げない

波をやり過ごした後、海面に上がる際も力は不要です。ボードには浮力があるため、押さえつけていた手や足の力を少し緩めれば、自然とロケットのように海面へ飛び出します。ここで必死に腕で水をかいて上がろうとすると、無駄な体力を使ってしまいます。

浮上する際は、次のパドリングにスムーズに移行できる体勢を整えることに集中しましょう。水面に出た瞬間からパドルを開始できる準備をしておけば、波の裏側へ出た後の僅かな引き波を利用して、さらに沖へと進むことができます。浮力は「敵」ではなく「味方」につけるものだと認識してください。

無駄な体力を消耗しないための海での立ち回り

技術も大切ですが、それ以上に「戦略」が体力の消耗を左右します。闇雲にパドルアウトするのではなく、海全体の状況を観察し、賢くルートを選ぶことが、疲れないサーファーへの第一歩です。

セットの間隔(インターバル)を見極める

波は規則的にやってきます。大きな波が数本続く「セット」と、波が落ち着く「小康状態」が交互に訪れます。最も疲れるパターンは、セットが入ってきている真っ只中にパドルアウトを開始してしまうことです。これでは、次から次へと来る大きな波にドルフィンスルーを強いられ、沖に出る前に力尽きてしまいます。

岸にいる間、あるいは足の着く浅瀬で数分間、海を観察してください。セットは何本続くのか、セットとセットの間は何分くらい空くのか。この「波が来ないタイミング」を見計らって一気に沖へ出るのが鉄則です。急がば回れ、観察する時間は決して無駄ではありません。

カレント(離岸流)を利用してエスカレーターに乗る

海には、岸に打ち寄せた海水が沖へと戻っていく「カレント(離岸流)」と呼ばれる流れが存在します。この流れは、サーファーにとって「沖へのエスカレーター」です。カレントが発生している場所は波が割れにくく、ドルフィンスルーの回数を最小限に抑えて沖に出ることができます。

カレントの見つけ方:

  • 波が周りより崩れていない場所
  • 白波(スープ)が途切れている場所
  • 海面がザワザワしており、ゴミや泡が沖へ流れている場所

上手なサーファーを観察してみてください。彼らは皆、同じルートを通って楽そうに沖へ出ているはずです。それがカレントのある場所です。ただし、カレントは流される力が強いため、沖に出すぎないように注意が必要です。

インパクトゾーン(波が崩れる場所)を避ける

波が最も強く崩れる場所を「インパクトゾーン」と呼びます。ここで波を食らうと、ドルフィンスルーをしても激しく揉まれ、体力を激しく消耗します。パドルアウトのルートを選ぶ際は、できるだけこのインパクトゾーンを避けるようにしましょう。

もしどうしてもインパクトゾーンを通らなければならない場合は、波が崩れる寸前の「リップ」が落ちてくる場所を避けて、少し左右にずれるだけでも衝撃は変わります。常に「どこを通ればドルフィンスルーの回数が少なくて済むか」を考えながらパドルすることが、疲れ知らずの秘訣です。

戻されても焦らないメンタルを持つ

大きな波に押し戻されると、「せっかく進んだのに!」とイライラしたり、「早く戻らなきゃ」と焦ったりしてしまいがちです。しかし、この精神的な動揺こそが、呼吸を乱し、筋肉を硬直させ、疲労を加速させます。

押し戻されるのはサーフィンの一部です。「戻されたら、またセットが止むのを待てばいい」と割り切る心の余裕を持ちましょう。一度深呼吸をして、リラックスした状態で次のチャンスを待つ方が、結果的に早く、そして楽に沖へ出られます。

ドルフィンスルーに必要な筋肉と自宅でできるトレーニング

技術と戦略を理解した上で、それを実行するための「基礎体力」もやはり必要です。ただし、ボディビルダーのような筋肉は必要ありません。ドルフィンスルーの動作に直結する筋肉をピンポイントで鍛えることで、海でのパフォーマンスが変わります。

上腕三頭筋を鍛えて「押し込み」を強くする

ドルフィンスルーの初期動作、つまりボードを沈めようと腕を伸ばす瞬間に使われるのが「上腕三頭筋(二の腕の裏側)」です。体重を使うとはいえ、最後に腕をロックして固定するためには、この筋肉の強さが必要です。

おすすめトレーニング:ナロープッシュアップ
通常の腕立て伏せよりも手幅を狭くし(脇を締めて)、胸の横に手を置いて行います。これは実際のドルフィンスルーの手幅に近く、三頭筋を重点的に刺激できます。10回×3セットを目安に行いましょう。

体幹(コア)を強化して水中バランスを保つ

水中で激しい乱流に揉まれたとき、体がブレてしまうとボードごとひっくり返されてしまいます。水中でボードとしがみつくのではなく、一体化して姿勢を維持するために必要なのが「体幹」です。体幹が強いと、波のパワーを効率よく受け流すことができます。

自宅では「プランク」が最も効果的です。肘をついて体を一直線に保つ姿勢をキープします。最初は30秒から始め、1分以上余裕を持ってできるようになれば、海の中でも波に振られにくい強固な軸ができてきます。

バーピージャンプで連動性と心肺機能を高める

ドルフィンスルーは、パドリング(有酸素運動)から瞬発的に潜り(無酸素運動)、またパドリングに戻るという動作の繰り返しです。この一連の動きに最も近い陸上トレーニングが「バーピージャンプ」です。

立った状態からしゃがんで手を突き、足を後ろに伸ばして腕立て伏せの姿勢になり、またしゃがんで立ち上がりジャンプする。この動作は、全身の筋肉の連動性を高めるだけでなく、心肺機能も強化します。海で息が上がりやすい人には特におすすめです。

柔軟性も「疲れにくさ」に直結する

意外と見落としがちなのが柔軟性です。特に肩周りと股関節の柔らかさは重要です。肩が硬いと深く沈める動作で可動域が制限され、余計な力が必要になります。また、股関節が硬いと、ボードに体を密着させる際や、足を蹴り込む動作でスムーズさが失われます。

お風呂上がりなどにストレッチを行い、体をしなやかに保つことも、疲れにくい体作りの一環です。体が柔らかければ、波の衝撃を「剛」ではなく「柔」で受け流すことができるようになります。

道具を見直して楽になる可能性も

「いくら練習してもドルフィンスルーが沈まない」という場合、技術不足ではなく、物理的に無理な道具を使っている可能性があります。特にサーフボードの選び方は、ドルフィンスルーの難易度に直結します。

適正浮力(ボリューム)を知る

サーフボードには「リッター数(L)」という浮力の目安があります。初心者はテイクオフを優先して浮力の大きなボードを選びがちですが、例えば体重60kgの人が、体重80kgの人向けの浮力があるボードを使っていれば、沈めるのは至難の業です。

もしドルフィンスルーがあまりにも辛いと感じるなら、一度自分の体重とレベルに適したリッター数を確認してみてください。数リッター落とすだけで、嘘のように簡単に沈められるようになることがあります。ただし、浮力を落とせばテイクオフの難易度は上がるため、バランスを見極めることが重要です。

ノーズ形状の違いによる抵抗

ショートボードのように先端が尖った(ポインテッドノーズ)ボードは水に刺さりやすく、ドルフィンスルーがしやすい形状です。一方、フィッシュボードやファンボードのようにノーズが丸く幅広の形状は、水の抵抗を面で受けるため、沈めるのにより大きな力と技術が必要になります。

現在使用しているボードが幅広で丸いノーズの場合、通常のドルフィンスルーよりも、さらに体を前に乗り出し、片側のレール(側面)から斜めに沈めるような工夫(レール・トゥ・レール)が必要になります。道具の特性を理解して、アプローチを変えることも一つの手段です。

デッキパッドとワックスのグリップ

地味ですが重要なのが滑り止めです。ドルフィンスルーで足を蹴り込む際、足がツルッと滑ってしまうと、力が逃げてしまい失敗します。デッキパッドのキック(後端の盛り上がり)がしっかりしているものを選ぶと、足が引っかかりやすく、蹴り込む力を効率よくボードに伝えられます。

また、手が滑ると深く沈めることができません。ノーズ寄りのレール部分にしっかりとワックスを塗っておくことで、確実なグリップが得られ、無駄な握力を使わずに済みます。

まとめ

まとめ
まとめ

ドルフィンスルーで疲れてしまう原因は、単なる筋力不足だけではありません。腕力に頼りすぎたフォーム、波に挑んでしまうタイミングの悪さ、そして呼吸や道具選びなど、様々な要素が絡み合っています。

大切なのは、「波と戦わない」ことです。波のエネルギーを受け流し、自分の体重を上手に使い、カレントなどの海の仕組みを味方につける。これらを意識するだけで、パドルアウトの疲労感は驚くほど軽減されます。
「沈める」のではなく「潜り抜ける」。この感覚を忘れずに、まずは次回のサーフィンで、力まずリラックスしてドルフィンスルーを試してみてください。沖に出るのが楽になれば、その分たくさんの波に乗るチャンスが生まれ、サーフィンがもっと楽しくなるはずです。

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