週末の早朝、静まり返った街を抜け出して海へと向かう時間は、大人にとってかけがえのないリセットのひとときです。そんなサーフィンライフをより充実させるためには、移動手段である「車」の存在が欠かせません。
若い頃はサーフボードさえ積めればどんな車でも良かったかもしれませんが、大人サーファーともなれば話は別です。道具を大切に運ぶ機能性はもちろん、移動中の快適さや、海辺に佇む際のデザイン性にもこだわりたいものです。
この記事では、大人の余裕とスタイルを感じさせる車種や、快適にサーフィンを楽しむための車選びのポイントを詳しく解説します。あなたのライフスタイルにフィットする、最高の1台を見つける参考にしてください。
大人サーファーが車に求める3つの絶対条件とは

サーフィンは自然相手のスポーツであり、使用する道具も多岐にわたります。そのため、単に「格好良いから」という理由だけで車を選んでしまうと、後々の使い勝手で後悔することになりかねません。
特に経験を積んだ大人サーファーにとって、車は単なる移動手段ではなく、着替えや休憩を行う「基地」としての役割も果たします。ここでは、まず押さえておきたい3つの重要な条件について深掘りしていきましょう。
積載能力と長尺物を飲み込む車内空間
サーファーにとって最も基本的でありながら、最大の悩みどころとなるのが積載能力です。特にロングボードやミッドレングスなど、長さのあるボードを好む方にとっては、車内空間の広さは死活問題と言えるでしょう。
ルーフキャリアを使うという手もありますが、紫外線によるボードの劣化や盗難のリスク、風切り音などを考慮すると、やはり車内積みができるに越したことはありません。助手席を倒せば3メートル近い長尺物が積めるかどうかは、大きなチェックポイントです。
また、ボードだけでなく、ウェットスーツ、ポリタンク、バケツ、着替えポンチョなど、サーフィンには意外と多くの荷物が必要です。これらを整然と収納でき、かつ出し入れがスムーズに行えるラゲッジスペースの形状も重要になります。
【積載チェックのポイント】
・助手席を倒した時の最大長はボードの長さ以上か
・タイヤハウスの張り出しが少なく、荷物が積みやすいか
・リアハッチを開けた際、雨宿りができるスペースがあるか
濡れた道具も気にならない防水・防汚機能
海から上がり、濡れたウェットスーツのままでポイント移動をしたり、砂のついた道具を片付けたりする場面は頻繁に訪れます。そんな時、高級なファブリックシートやカーペット敷きのフロアでは、汚れが気になってストレスを感じてしまいます。
大人サーファーの車選びでは、「水や汚れに強い素材」が使われているかどうかが非常に重要です。例えば、撥水加工が施されたシートや、合成皮革(レザーレット)のシートであれば、水滴をサッと拭き取るだけで済みます。
ラゲッジルームに関しても同様です。樹脂製のラゲッジマットや、防水加工されたトレイが装備されている車であれば、濡れたポリタンクや砂まみれのサンダルをそのまま置いても問題ありません。メンテナンスが楽であることは、長くきれいに乗り続けるための秘訣です。
疲れた身体を癒やす快適な乗り心地と運転支援
早朝の暗い時間帯に出発し、波乗りを楽しんでクタクタになった身体で帰路につく。サーファーにとって、帰りの運転は体力との戦いでもあります。若い頃なら気合で乗り切れたかもしれませんが、大人には翌日の仕事や家庭への影響も考えた、安全で快適な移動が求められます。
そこで重視したいのが、シートの座り心地と先進の運転支援システムです。身体をしっかりと包み込み、腰への負担が少ないシートは、長距離ドライブの疲労を大幅に軽減してくれます。
また、アダプティブクルーズコントロール(前の車に追従して走る機能)や、レーンキープアシストなどの機能は、高速道路での運転負荷を劇的に下げてくれます。安全に自宅まで帰り着くことこそが、良いサーフトリップの締めくくりとなります。
実用性と信頼性で選ぶ!おすすめの国産モデル

日本の道路事情や気候に合わせて作られた国産車は、やはり信頼性が高く、メンテナンスのしやすさも魅力です。故障のリスクが低いため、人里離れたサーフポイントへも安心して向かうことができます。
ここでは、多くのサーファーから支持され続けている鉄板のモデルから、最新のトレンドを取り入れたSUVまで、大人サーファーにおすすめの国産車を紹介します。
王道のハイエース・キャラバンで究極の空間を
サーファーの車と言えば、まず名前が挙がるのがトヨタのハイエースや日産のキャラバンといった「ワンボックス」タイプです。商用車ベースならではの圧倒的な積載能力は、他の追随を許しません。
荷室が単純な箱型であるため、棚を自作したり、ベッドキットを組んだりと、自分のスタイルに合わせて自由にカスタマイズできるのが最大の魅力です。車内で立って着替えができるほどの高さを持つハイルーフモデルを選べば、冬場の着替えも寒さ知らずです。
「商用車っぽさ」を敬遠する方もいますが、最近では内装をおしゃれに架装したコンプリートカーや、外装をアウトドア仕様にカスタムしたモデルも多数販売されています。機能美を追求する大人サーファーにとって、これ以上ない相棒となるでしょう。
ハイエースなどのディーゼルモデルは、耐久性が高く燃費も良好なため、長距離を走るサーファーには経済的なメリットも大きいです。
タフさとステータスを両立するランドクルーザー
海辺の砂地や未舗装路を走る機会が多いサーファーにとって、悪路走破性は見逃せないポイントです。トヨタのランドクルーザーシリーズ(ランクル300、250、70、プラドなど)は、世界最高峰のタフさを誇りながら、高級車としての品格も兼ね備えています。
ラダーフレーム構造による堅牢なボディは、長年の使用でもヤレにくく、リセールバリュー(再販価値)が非常に高いことでも知られています。多少ラフに使っても壊れない安心感は、冒険心を忘れない大人にぴったりです。
車体サイズが大きいため、狭い駐車場や細い道では注意が必要ですが、その圧倒的な存在感と所有満足度は他の車では味わえません。ルーフにボードを積んだ姿がこれほど絵になる車も少ないでしょう。
雨の日も安心のスバル アウトバック・フォレスター
サーフポイントへ向かう道中、突然の豪雨に見舞われたり、冬場であれば雪道を走ったりすることもあります。そんな悪天候下での安定感を重視するなら、スバルのAWD(常時全輪駆動)技術を搭載したアウトバックやフォレスターがおすすめです。
スバルの「シンメトリカルAWD」は、重心が低くバランスが良いため、濡れた路面や高速道路のカーブでも地面に吸い付くような走りを実現します。これは、運転の疲れにくさに直結します。
特にレガシィ アウトバックは、ステーションワゴンの使い勝手とSUVの走破性を融合させた「クロスオーバー」というジャンルで、大人の落ち着いた雰囲気を醸し出しています。内装の質感も高く、ロングドライブを優雅に楽しみたい方に最適です。
都会にも馴染むエクストレイル・RAV4
「平日は都市部で仕事、週末は海」というデュアルライフを送る大人サーファーには、都会の街並みにも馴染むモダンなSUVがマッチします。日産のエクストレイルやトヨタのRAV4は、その代表格です。
これらのモデルは、ミドルサイズでありながら必要十分な荷室容量を確保しています。特にエクストレイルやRAV4の一部のグレードには、防水シートや防水ラゲッジが標準装備されており、まさにサーファーのために作られたかのような仕様になっています。
燃費性能に優れたハイブリッドモデルも充実しているため、維持費を抑えつつアクティブに活動したい方におすすめです。デザインも洗練されており、スーツ姿で乗っても違和感がありません。
個性を主張する!こだわり派のための輸入車選び

国産車の機能性も素晴らしいですが、車にも自分だけの個性やストーリーを求めたいのが大人サーファーの性分かもしれません。輸入車には、国産車にはない独特のデザイン哲学や、長い歴史に裏打ちされた世界観があります。
海沿いのパーキングに停めたとき、ふと振り返って眺めたくなるような、所有欲を満たしてくれる輸入車たち。ここでは、スタイル重視のサーファーにおすすめしたい5つのモデルを紹介します。
冒険心を掻き立てるジープ ラングラー
「道なき道を突き進む」というイメージを体現するジープ ラングラー。その無骨なスタイルは、サーフィンの持つワイルドな側面と見事にシンクロします。丸目のヘッドライトと7スロットグリルは、一目でジープとわかるアイデンティティです。
ラングラーの魅力は、何と言ってもその開放感です。ルーフやドアを取り外すことができるモデルもあり、海風をダイレクトに感じながらのドライブは格別です。内装も水洗いが可能な仕様になっているなど、実用面でもタフに使えます。
積載量はボディサイズの割に控えめですが、ヒッチキャリアやルーフキャリアを活用することでカバーできます。「不便さも含めて愛せる」という、遊び心を持った大人にこそ乗ってほしい1台です。
北欧デザインと安全性のボルボ V60・XC60
洗練された大人のサーファースタイルを目指すなら、ボルボが有力な候補になります。スウェーデン生まれのボルボは、過度な装飾を削ぎ落としたスカンジナビアン・デザインが特徴で、知的でクリーンな印象を与えます。
ステーションワゴンのV60は、低い車高でボードの積み下ろしがしやすく、走行安定性も抜群です。一方、SUVのXC60は視点が高く運転しやすい上、悪路にも対応できます。どちらもシートの設計が医学的見地に基づいており、長時間の運転でも腰が痛くなりにくいと評判です。
また、ボルボは「世界一安全な車」を目指しているメーカーだけあり、安全装備の充実度はトップクラスです。家族を乗せて海に行く機会が多いパパサーファーにとっても、この安心感は大きな選定理由になるでしょう。
成功者の証 メルセデス・ベンツ Gクラス・Vクラス
サーフポイントでの圧倒的な存在感と、ステータス性を重視するなら、メルセデス・ベンツは外せません。特に「ゲレンデヴァーゲン」の名で親しまれるGクラスは、軍用車をルーツに持つスクエアなボディが特徴で、多くの著名人サーファーにも愛用されています。
Gクラスは見た目の無骨さとは裏腹に、インテリアは極上のラグジュアリー空間です。荒れた路面を走破する能力と、高級ホテルのような快適性が同居しています。
一方、多人数でのサーフトリップや、広大なスペースを求めるならVクラス(ミニバン)も選択肢に入ります。国産ミニバンとは一線を画す剛性感のある走りと、高速巡航性能の高さは、ドイツのアウトバーンで鍛えられた証です。
英国の伝統と革新 ランドローバー ディフェンダー
近年、感度の高いサーファーたちの間で急速に人気を集めているのが、ランドローバーのディフェンダーです。先代の無骨なイメージを継承しつつ、現代的なデザインと最新のテクノロジーを融合させて復活しました。
ショートボディの「90」、ロングボディの「110」、さらに長い「130」とラインナップがあり、用途に合わせて選べます。特に110は、後席を倒すとフルフラットに近い広大な空間が生まれ、車中泊も快適にこなせます。
内装には耐久性の高い素材が使われており、泥や砂汚れも簡単に掃除できます。さらに、オプションで車体側面に収納ボックスやハシゴを取り付けられるなど、「ギア感」満載のカスタマイズが楽しめるのも大きな魅力です。
ヴィンテージスタイルを楽しむフォルクスワーゲン トランスポーター
「最新の車も良いけれど、レトロな雰囲気が好き」という方には、フォルクスワーゲンのトランスポーター(通称:Tシリーズ)が刺さるはずです。特に古いT3(ヴァナゴン)やT4などは、その愛らしいルックスで「バンライフ」の象徴的存在となっています。
現行モデルのT6.1なども、商用車ベースながらドイツ車らしいしっかりとした走り味を持っています。シンプルで機能的な内装は、自分の好きなようにカスタムするキャンバスとして最適です。
クラシックなモデルはメンテナンスに手間がかかることもありますが、手をかけながら長く乗ることで愛着が湧き、サーフィンと同じようにライフスタイルの一部となっていくでしょう。海辺に停めてコーヒーを淹れる時間が、何よりも贅沢に感じられる車です。
サーフトリップを快適にする車中泊とカスタム術

大人サーファーの特権、それは時間を気にせず波を追いかける「サーフトリップ」です。宿を予約するのも良いですが、波のコンディションに合わせて柔軟に動ける「車中泊」スタイルこそ、サーフィンの醍醐味と言えるかもしれません。
快適な車中泊環境を整えることは、翌日のパフォーマンスアップにも繋がります。ここでは、車を単なる移動手段から「動くホテル」へと進化させるためのポイントを紹介します。
フルフラット化と専用ベッドキットの導入
車中泊で最も重要なのは、「平らな場所で足を伸ばして寝ること」です。シートを倒しただけではどうしても段差や傾斜ができてしまい、熟睡できないことが多いものです。
そこで検討したいのが、車種専用に設計されたベッドキットの導入です。特にハイエースやキャラバン、人気のSUVなどは、アフターパーツメーカーから多くのベッドキットが販売されています。これらを使えば、荷室の下にサーフボードなどの荷物を収納し、その上で広々と寝ることができます。
専用キットがない車種の場合でも、市販の車中泊用インフレーターマットを活用したり、段差を埋めるクッションを工夫したりすることで、快適な寝床を作ることが可能です。寝袋だけでなく、自宅で使っている枕やブランケットを持ち込むのも、安眠のための有効なテクニックです。
プライバシーを守るシェードとカーテン
車内で着替えたり、就寝したりする際、外からの視線は意外と気になるものです。プライバシーを確保し、安心して過ごすためには、窓を覆うシェードやカーテンが必須アイテムとなります。
車種専用のサンシェードは、窓の形にぴったりフィットするため隙間ができず、断熱効果も期待できます。夏場は車内温度の上昇を抑え、冬場は窓からの冷気を遮断してくれるため、一年を通して重宝します。
また、カーテンを取り付けておけば、いちいち吸盤でシェードを貼る手間が省け、サッと閉めるだけでプライベート空間が完成します。遮光性の高い素材を選べば、街灯の明かりや朝日で早く目が覚めてしまうことも防げるでしょう。
ポータブル電源と簡易シャワーで快適度アップ
電気と水が使えるようになると、車中泊の快適度は劇的に向上します。近年普及している大容量のポータブル電源があれば、スマートフォンやPCの充電はもちろん、電気毛布や扇風機、さらには電気ケトルでお湯を沸かすことも可能です。
冬場のサーフィン後に温かいコーヒーを飲んだり、カップラーメンを食べたりする時間は格別です。また、夏の車中泊ではポータブルファンを一晩中回しておけるので、寝苦しさを解消できます。
水に関しては、ポリタンクと電動のポータブルシャワーを用意しておけば、海上がりに温水を浴びることができます。特に保温カバー付きのポリタンクにお湯を入れて持参すれば、寒い冬でも快適に潮を流すことができ、シャワー施設のないポイントでも困りません。
購入前に確認!維持費と賢い選び方のポイント

理想の車が見えてきたところで、最後に現実的な側面もしっかり確認しておきましょう。車は購入して終わりではなく、乗り続けるための維持費がかかります。
特に大型の車を選ぶことが多いサーファーにとって、燃料代や税金の違いは家計に大きく影響します。後悔しないために、購入前にチェックすべきポイントを整理します。
燃費性能と燃料の種類によるコスト差
サーファーは波を求めて長距離を移動することが多いため、燃費性能は維持費に直結します。リッター数キロの違いが、年間で見ると数万円から十数万円の差になることも珍しくありません。
また、燃料の種類にも注目しましょう。ハイオクガソリン指定の輸入車や大型SUVは、燃料単価が高くなりがちです。一方で、軽油を使用するディーゼルエンジン車は、燃費が良い上に燃料単価も安いため、走行距離が長いサーファーには経済的なメリットが非常に大きくなります。
ハイブリッド車は車両本体価格が高めですが、街乗りから高速道路まで安定して燃費が良いため、長く乗るつもりであれば元が取れる場合も多いです。自分の年間の走行距離を想定して、シミュレーションしてみることをおすすめします。
ナンバー区分による維持費の違い
ハイエースやランドクルーザーなどを検討する場合、「1ナンバー(普通貨物)」「4ナンバー(小型貨物)」「3ナンバー(普通乗用)」という区分の違いを理解しておく必要があります。
1ナンバーや4ナンバーといった貨物登録の車は、3ナンバーの乗用車に比べて自動車税が大幅に安く設定されています。排気量が大きい車でも、年間1万6千円程度(4ナンバーの場合)で済むのは大きな魅力です。
しかし、デメリットもあります。貨物登録車は新車登録から2年後、以降は「1年ごと」に車検を受ける必要があります(乗用車は2年ごと)。また、高速道路料金が1ナンバーの場合は中型車扱いとなり、普通車よりも割高になります。休日のETC割引が適用されないケースもあるため、利用頻度によってはトータルの出費が増えてしまう可能性もあります。
将来を見据えたリセールバリュー
車はいずれ手放す時が来ます。その際、どれくらいの価格で売れるか(リセールバリュー)も、実質的なコストの一部と考えられます。
一般的に、ランドクルーザーやジムニー、ハイエース、ラングラーといった、趣味性が高く人気の安定している車種は、リセールバリューが非常に高い傾向にあります。数年乗っても価格があまり落ちないため、結果的に「安い車を乗り潰すよりも、高い車を買って高く売る方が得だった」というケースも少なくありません。
流行り廃りの激しいデザインの車や、不人気色を選ぶと、売却時に査定額が下がることがあります。定番のカラー(白・黒・アースカラーなど)や、人気のグレードを選んでおくことは、将来的な資産価値を守る上でも賢い選択と言えるでしょう。
大人サーファーの車選びで理想のライフスタイルを
大人サーファーにとっての車は、単に海へ行くための道具ではありません。それは、忙しい日常から離れ、自分自身を取り戻す場所へと連れて行ってくれるパートナーです。
積載量や燃費といったスペックももちろん大切ですが、一番重要なのは「その車に乗って海へ向かう自分にワクワクできるか」ということです。早朝のハイウェイを走る時の高揚感、海上がりにドアを開けて休憩する時の安らぎ、そんなシーンを彩ってくれる1台を選んでください。
機能性とスタイル、そして経済性。これらを自分の価値観と照らし合わせながら、じっくりと吟味することで、あなたのサーフィンライフはより豊かで快適なものになるはずです。ぜひ、最高の相棒を見つけて、次の週末も良い波を追いかけてください。




