冬のサーフィン、海に入る前の着替えや海の中での寒さは本当に辛いですよね。「少しでも温かくしたいけれど、サーフィン専用のインナーは高くて手が出しにくい…」そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで頭に浮かぶのが、誰もが持っている「ユニクロのインナー」です。日常であれほど暖かいのだから、海でも使えるのでは?と期待してしまいますよね。しかし、実は使い方を間違えると、逆に体を冷やしてしまう危険性もあるのです。
この記事では、ウェットスーツのインナーとしてユニクロ製品を賢く活用する方法と、絶対に知っておくべき注意点をわかりやすく解説します。コスパ良く快適な波乗りライフを送るためのヒントを持ち帰ってください。
【結論】ウェットスーツのインナーにユニクロは「条件付き」で使える!

「ユニクロのインナーはサーフィンで使えるのか?」という疑問に対する答えは、「条件付きで使える」です。実は、あなたが着ているウェットスーツの種類によって、その相性は「最高のアイテム」にもなれば「最悪の選択」にもなり得ます。
まずは、どのような条件であればユニクロ製品が活躍するのか、その全体像を整理していきましょう。自分のスタイルに合わせて判断することが大切です。
ドライスーツを着るなら「最強のコスパアイテム」
もしあなたが、体か濡れない構造の「ドライスーツ」を着用しているなら、ユニクロは非常に優秀なインナーになります。ドライスーツは水が内部に侵入しないため、陸上と同じように保温性を重視した重ね着(レイヤリング)が可能です。
この場合、ユニクロのフリースや極暖ヒートテックなどは、高い保温力を発揮してくれます。専用のサーフィン用インナーは高額なものが多いですが、ユニクロなら数分の一の価格で十分な暖かさを確保できるため、多くのドライスーツユーザーが愛用しています。
セミドライ・ウェットスーツの場合は「要注意」
一方で、水が侵入してくる「セミドライ」や一般的な「ジャージフルスーツ」を着ている場合、ユニクロのインナー、特にヒートテックの使用には大きな注意が必要です。理由はシンプルで、「水に濡れた時の機能性」が考慮されていないからです。
日常用のインナーは、空気を含んで温めるように作られていますが、一度海水を含んでしまうと、その保温機能が失われるだけでなく、逆に体温を奪う原因になることがあります。「安く済ませようと思ったのに、ガタガタ震えてサーフィンどころじゃなかった」という失敗談は少なくありません。
「着替え用」や「移動用」としては優秀
海の中での使用には不安がある場合でも、海への行き帰りや、着替える直前までの防寒対策としては非常に優秀です。特に冬場の着替えは、いかに体温を下げずにウェットスーツを着るかが勝負です。
ウェットスーツを着る直前まで暖かいユニクロの服を着て体を温めておき、上がった後もすぐに肌触りの良いフリースなどを羽織る。このように「海の中」と「陸上」で使い分けるのが、最も賢いユニクロ活用術と言えるでしょう。
あくまで「代用品」であることを忘れない
ユニクロ製品はあくまで陸上での快適性を追求して作られたものです。サーフィンのような激しい動きや、海水にさらされる過酷な環境を想定して設計されてはいません。
「とりあえずの一回」や「どうしても寒い時の緊急対策」として使うのはありですが、本格的に冬の海に通うのであれば、機能面での限界があることを理解しておきましょう。次の章では、なぜ濡れると冷えてしまうのか、その理由を深掘りします。
なぜ「ヒートテック」は海の中で冷えるのか?素材の落とし穴

「あんなに暖かいヒートテックなんだから、海の中でも暖かいはず」そう思って着用し、後悔するサーファーは後を絶ちません。なぜ、陸上で最強の防寒着が、海中では体を冷やす原因になってしまうのでしょうか。
その秘密は、ヒートテックに使われている「素材」と「発熱の仕組み」にあります。ここでは、科学的な視点からそのリスクを解説します。
「吸湿発熱」の仕組みが逆効果になる
ヒートテックの暖かさの秘密は、「吸湿発熱」という機能にあります。これは、体から出る微量な水蒸気(汗)を繊維が吸収し、そのエネルギーを熱に変える仕組みです。しかし、この機能には「水分を吸収する」という特性が不可欠です。
ウェットスーツの中で海水が大量に入ってきた場合、繊維は限界を超えて水分を含んでしまいます。すでに水分で飽和状態の生地はそれ以上発熱しないどころか、今度は冷たい水を肌に張り付かせ続けることになります。
レーヨン素材は乾きにくく、体温を奪う
ヒートテックの多くには「レーヨン」という素材が含まれています。レーヨンは肌触りが良く吸水性が高いのが特徴ですが、一度濡れるとなかなか乾きません。
濡れた布が肌に触れ続けると、水分が蒸発する際に熱を奪う「気化熱」の作用や、冷たい水自体による熱伝導で、体温が急激に下がります。これを「汗冷え」ならぬ「濡れ冷え」と呼びます。サーフィン中に風に吹かれたり、波待ちをしている間に、濡れたヒートテックが冷たい湿布のように背中を冷やしてしまうのです。
水を吸って重くなり、動きを妨げる
水を吸いやすい素材は、当然ながら濡れると重くなります。ウェットスーツ自体も水を吸って重くなるものですが、その中にさらに水をたっぷり吸ったインナーを着ていると、パドリングの重さが格段に増します。
肩が回しにくくなったり、テイクオフの動作が遅れたりと、パフォーマンスへの悪影響も無視できません。「寒くないけど動きにくい」ならまだしも、「寒くて動きにくい」という最悪の状態になりかねないのが、濡れる前提でのヒートテック着用のリスクです。
結論:濡れるスーツにレーヨン混はNG
以上の理由から、水が入ってくるウェットスーツのインナーとして、レーヨンが含まれる通常のヒートテックを選ぶのは避けたほうが無難です。もしどうしても代用したい場合は、後ほど紹介する「ポリエステル100%」に近い素材を選ぶ必要があります。
「濡れると冷える」という特性を正しく理解し、自分のウェットスーツのタイプと照らし合わせて判断しましょう。
サーフィン専用インナーは何が違う?価格の理由を解説

サーフショップに行くと、インナーだけで1万円近くする商品が並んでいます。「ただの黒いシャツなのに、なぜこんなに高いの?」と疑問に思うかもしれません。しかし、そこにはサーフィン特有の環境に耐えうる、明確な機能差が存在します。
ここでは、専用インナーがなぜ選ばれるのか、その価格に見合う理由を3つのポイントで解説します。
濡れても温かい「撥水・蓄熱素材」
サーフィン専用インナーの最大の特徴は、素材そのものの機能性です。多くの専用インナーには、水を弾く「撥水(はっすい)加工」が施されていたり、濡れても保温性を維持する特殊な化学繊維(ポリプロピレンなど)が使われています。
これにより、肌とウェットスーツの間に空気の層を作り出し、魔法瓶のように熱を逃がしません。また、裏起毛に金属(チタンなど)をコーティングして体温を反射させるタイプもあり、薄手でも驚くほどの暖かさを実現しています。
パドリングを邪魔しない「立体裁断」
サーフィンは、パドリングで肩を回し続けるスポーツです。一般的な衣類は、腕を下ろした状態で型紙が作られていますが、サーフィン用インナーは「腕を上げている状態」や「前傾姿勢」を想定した立体裁断で作られていることが多いです。
これにより、脇の下が突っ張ったり、背中が出たりするストレスがありません。ウェットスーツの中で生地がダブついて不快な思いをすることもなく、まるで「第二の皮膚」のように体にフィットします。
脱ぎ着のスムーズさと速乾性
冬のサーフィンで一番辛い瞬間のひとつが、海上がりの着替えです。冷え切った体で、濡れて重くなったインナーを脱ぐのは一苦労。専用インナーは、表面がツルツルしていてウェットスーツとの摩擦を減らし、スルッと脱げるように工夫されているものがあります。
また、驚異的な「速乾性」も魅力です。朝の1ラウンドで使った後、干しておけば昼過ぎの2ラウンド目には乾いていることも珍しくありません。連日サーフィンをする人にとって、この乾きの早さは大きなメリットとなります。
ユニクロで選ぶならコレ!おすすめアイテムと選び方

専用インナーの良さはわかったけれど、やはり予算は抑えたい。そんな方のために、ユニクロ製品の中からサーフィンのインナーとして「使える可能性が高い」アイテムと、その選び方をご紹介します。
ただし、前述の通り「ドライスーツ」か「ウェットスーツ(セミドライ)」かで選び方が大きく異なるため、それぞれのケースに分けて解説します。
ドライスーツ用:フリースと極暖の重ね着
ドライスーツの中に着る場合、ユニクロは最強の味方です。おすすめは以下の組み合わせです。
【ドライスーツおすすめレイヤリング】
1. 肌着:エアリズム(半袖・長袖)
意外かもしれませんが、一番下には速乾性のあるエアリズムを着ます。汗をかいた時に素早く乾かし、汗冷えを防ぐためです。
2. 中間着:フリース(薄手)またはウルトラライトダウン
空気の層を作って保温します。動きやすさを重視して、モコモコしすぎない薄手のフリースや、袖のないベストタイプがおすすめです。
3. 保温着:ヒートテック(極暖・超極暖)
ドライスーツ内が完全防水であれば、ここでヒートテックの保温力が生きます。ただし、汗を大量にかくと冷えるので運動量に合わせて調整しましょう。
ウェットスーツ用:代用するなら「エアリズム」?
水に濡れるウェットスーツのインナーとして代用する場合、実はヒートテックよりも「エアリズム」の方がマシな場合があります。なぜなら、エアリズムはポリエステル中心の素材で、速乾性が高いからです。
ただし、エアリズム自体に保温性はありません。あくまで「ウェットスーツと肌の摩擦を減らして着やすくする」「肌へのベタつきを抑える」という目的での使用になります。寒さ対策として使うなら、やはり専用品には及びませんが、ラッシュガード代わりにはなります。
サイズ選びは「ピチピチ」が鉄則
どのアイテムを選ぶにしても、サイズ選びは非常に重要です。普段着のようにゆとりがあると、ウェットスーツの中で生地がシワになり、そのシワが肌に食い込んで痛みの原因になります(いわゆる「ウエット擦れ」)。
また、隙間があるとそこに冷たい水が溜まってしまいます。ユニクロで選ぶ際は、普段よりワンサイズ小さいものを選び、体にピタッと密着するもの(コンプレッションウェアに近い感覚のもの)を探してください。
素材タグを必ずチェックしよう
購入前に必ず「品質表示タグ」を確認しましょう。避けるべきは「綿(コットン)」と「レーヨン」が多く含まれているものです。これらは水を吸うと乾きません。
【狙い目の素材】
・ポリエステル
・ポリウレタン
これらの比率が高い化学繊維100%の製品であれば、水切れが比較的良く、冷えのリスクを軽減できます。
ユニクロだけじゃない!賢く安く揃える代用アイデア

ユニクロ以外にも、サーフィン専用インナーの代用品として使える高コスパなアイテムは存在します。「ブランドにはこだわらないけど、機能は欲しい」という方に、いくつかの選択肢を紹介します。
作業着のプロ「ワークマン」を探す
近年、アウトドアやスポーツ分野で注目されているワークマン。ここには、サーフィンでも使える優秀なインナーが眠っています。
特に注目したいのが、速乾性と保温性を両立したコンプレッションウェアです。「裏起毛」かつ「吸汗速乾」を謳っているモデルを探してみましょう。価格も1,000円〜2,000円程度と非常に安く、汚れたり傷んだりしても気軽に買い換えられるのが魅力です。
アウトドアブランドの「ベースレイヤー」
登山用のインナー(ベースレイヤー)は、過酷な環境で汗冷えを防ぐために開発されており、サーフィンとの相性が抜群です。例えば、モンベルの「ジオライン」などは、速乾性と保温性のバランスが素晴らしく、サーファーの間でも隠れた人気商品です。
サーフィン専用品よりは少し安いか同程度の価格帯ですが、登山やランニングなど他のスポーツと兼用できるため、トータルでのコストパフォーマンスは高くなります。
夏用の「ラッシュガード」を重ね着する
新しいものを買わずに済ませる方法として、夏に使っているラッシュガードをウェットスーツの中に着るという手があります。保温性はそこまで高くありませんが、肌とウェットスーツの間に一枚挟むことで、冷たい水が直接肌に触れる感覚を和らげることができます。
ただし、サイズが大きすぎると中でゴワゴワするので、ジャストサイズのものに限ります。少しでも暖かさを足したい時の応急処置として覚えておくと良いでしょう。
まとめ
ウェットスーツのインナーとしてユニクロ製品を使う際は、自分のサーフィンスタイルとウェットスーツの種類を正しく理解することが大切です。
今回の記事のポイントを振り返ってみましょう。
最初はユニクロやワークマンなどの代用品から始めてみるのも良い経験です。しかし、真冬の海で「どうしても寒い!」と感じたら、それはあなたの情熱が足りないのではなく、インナーのせいかもしれません。
その時は迷わずサーフィン専用インナーを試してみてください。その暖かさと快適さに、きっと驚くはずです。賢くアイテムを選んで、冬の海も快適に楽しみましょう。




