「次のサーフトリップ、どこに行こうかな?」と迷っているあなたへ。ハワイやバリ、オーストラリアといった王道のサーフスポットも素敵ですが、今、日本のサーファーたちの間で密かに注目を集めている場所があります。それが、ベトナムです。
「ベトナムでサーフィン?」と意外に思う方もいるかもしれませんが、実はベトナムには美しいビーチと良質な波、そして美味しい食事と安らぎの文化が揃っています。特に中部のダナンを中心としたエリアは、初心者から上級者まで楽しめる隠れたサーフ天国なのです。
日本から直行便でアクセスでき、物価も安く、治安も比較的良好。さらに、一年を通して温暖な気候は、ウェットスーツのストレスから解放されたいサーファーにとってまさに楽園と言えるでしょう。
この記事では、ベトナムサーフィンの魅力やベストシーズン、主要なポイントから旅の費用まで、これからベトナムへ波乗りに行きたい人が知りたい情報を余すところなくお伝えします。ぜひ、次の旅の参考にしてください。
ベトナムサーフィンが人気の理由と基本情報

近年、アジアの新しいサーフデスティネーションとして急速に人気が高まっているベトナム。なぜこれほどまでに多くのサーファーを惹きつけているのでしょうか。その理由は、単に波があるからというだけではありません。
アクセスの良さ、波の質、そして滞在費の安さなど、サーフトリップに求められる条件が高水準で揃っているのです。まずは、ベトナムサーフィンが選ばれる4つの大きな理由について詳しく解説していきます。
日本からのアクセスが良く短期旅行でも楽しめる
サーフトリップを計画する際、移動時間は非常に重要な要素です。ベトナムの中部、サーフィンの中心地であるダナンへは、成田空港や関西国際空港から直行便が就航しています。フライト時間は約5時間半から6時間程度です。
ハワイやカリフォルニアへの長時間のフライトに比べると、身体への負担が圧倒的に少なく、到着したその日から海に入ることが可能です。この「近さ」は、忙しい日本のサーファーにとって大きなメリットと言えるでしょう。
また、日本との時差はマイナス2時間です。時差ボケに悩まされることもほとんどありません。金曜日の仕事終わりに空港へ向かい、土日をフルに使って波に乗り、月曜日の朝には帰国して出社するといった「弾丸サーフトリップ」も、ベトナムなら決して不可能ではないのです。
初心者にも優しいビーチブレイクとスクールの充実
ベトナム、特にダナンのメインビーチである「ミーケビーチ」は、遠浅のサンドバー(砂地)が広がるビーチブレイクです。海底が岩や珊瑚ではないため、万が一ワイプアウトして海底に足をついたり叩きつけられたりしても、怪我をするリスクが低く安心です。
波の質も、メロー(穏やか)で乗りやすい波が多く、テイクオフの練習をしたい初心者や、リラックスしてクルージングを楽しみたいロングボーダーに最適です。もちろん、波のサイズが上がればショートボードでも十分にアクションを楽しめます。
さらに、近年はビーチ周辺にサーフスクールやレンタルショップが増えています。日本語対応可能なショップや、親切なローカルが経営するショップもあり、手ぶらで訪れてもすぐにサーフィンを始められる環境が整っています。「初めての海外サーフィン」という方にも、ベトナムは心からおすすめできる場所です。
圧倒的なコストパフォーマンスの良さ
サーフトリップでお金がかかるのは、航空券代だけではありません。現地での宿泊費、食費、移動費なども積み重なると大きな出費になります。しかし、ベトナムは日本に比べて物価が非常に安く、コストパフォーマンスは抜群です。
例えば、清潔で快適なホテルでも1泊数千円から見つけることができますし、海沿いのリゾートホテルでも日本の半額以下で宿泊できることが珍しくありません。長期滞在を考えているサーファーにとっては、この滞在費の安さは大きな味方となります。
食事に関しても、ローカルの食堂なら数百円でお腹いっぱい食べられます。サーフィン後のマッサージやスパも格安で受けられるため、低予算でも少し贅沢な気分を味わえるのがベトナム旅の醍醐味です。
サーフィン以外の食事や観光も充実している
「波がない時間はどう過ごそう?」そんな心配もベトナムなら無用です。ベトナム料理は日本人の口に合うヘルシーで美味しいものが多く、フォーやバインミーといった名物料理を食べ歩くだけでも十分に楽しめます。
特にダナン周辺には、世界遺産である「ホイアン」の古い街並みや、「ミーソン聖域」などの観光スポットが点在しています。サーフィンで疲れた午後は、ランタンが美しいホイアンの夜市を散策したり、お洒落なカフェでベトナムコーヒーを楽しんだりと、充実した時間を過ごせます。
サーフィンだけでなく、異国情緒あふれる文化や観光もセットで楽しめる点が、同行者(サーフィンをしない家族やパートナー)がいる場合でも満足度が高い理由の一つとなっています。
ベトナムの主要サーフポイントと特徴

ベトナムには南北に長い海岸線がありますが、サーフィンの中心地は中部の「ダナン」です。しかし、ダナン以外にも魅力的なスポットは点在しています。ここでは、代表的なサーフポイントとその特徴を詳しく紹介します。
自分のレベルや旅のスタイルに合わせて、最適なポイントを選んでみてください。特にダナンには複数のポイントがあり、その日の風向きやうねりに合わせて移動することも可能です。
ダナン:ミーケビーチ(My Khe Beach)
ダナンを代表するメインスポットが「ミーケビーチ」です。空港からタクシーで15分程度という驚異的なアクセスの良さを誇ります。数キロにわたって続く白い砂浜は美しく、ビーチ沿いにはホテルやレストランが立ち並んでいます。
ボトム(海底)は砂で、遠浅な地形が続いているため、初心者から中級者まで安心して楽しめます。基本的にはビーチブレイクで、うねりの向きによっていくつものピークが発生します。メインシーズンである乾季には、コンスタントに波があり、多くのサーファーで賑わいます。
早朝のサンライズサーフィンは格別で、水平線から昇る朝日を浴びながら波に乗る体験は感動的です。ビーチにはレンタルボード屋やサーフスクールも点在しており、情報収集もしやすいエリアです。
ダナン:ノンヌアックビーチ(Non Nuoc Beach)
ミーケビーチから海岸線を南へ数キロ下ったところにあるのが「ノンヌアックビーチ」です。高級リゾートホテルが立ち並ぶエリアの前に位置しており、ミーケビーチに比べて人が少なく、落ち着いた雰囲気の中でサーフィンを楽しめます。
波質はミーケビーチと似ていますが、地形によってはミーケよりも早くブレイクしたり、ホレた(掘れた)波になることもあります。混雑を避けたい場合や、リゾートホテルに滞在して目の前の海で優雅にサーフィンをしたい方におすすめのポイントです。
ただし、ホテルのプライベートビーチ扱いになっているエリアもあるため、アクセスする際はパブリックな入り口を確認するか、ビーチ沿いを歩いて移動する必要があります。
ダナン:ナムオー(Nam O)
ダナン湾の北側に位置する「ナムオー」は、ダナンエリアでは珍しいレフトのポイントブレイクとして知られています。冬の北うねりが強く入った時に本領を発揮し、長く乗れる質の高い波が現れます。
ここはボトムの一部に岩やリーフ(珊瑚・岩礁)が混ざっている箇所があるため、基本的には中級者から上級者向けのポイントです。波のサイズが上がるとパワフルになり、チューブを巻くこともあります。
ミーケビーチがクローズアウト(波が大きすぎて乗れない状態)している時に、かわして遊べるポイントとして機能することもあります。ローカルサーファーも大切にしているポイントなので、ビジターとして入る際はルールとマナーを十分に守りましょう。
ニャチャン:バイダイビーチ(Bai Dai Beach)
ベトナム中南部に位置するリゾート地、ニャチャン。その中心部から少し離れた空港近くにある「バイダイビーチ」もサーフスポットとして知られています。ダナンのシーズンが終わりかける時期でも、地形や風向きによっては波が残ることがあります。
約10キロに及ぶロングビーチで、美しい白砂と青い海が特徴です。ダナンに比べるとサーファーの数は圧倒的に少なく、貸切状態で波乗りを楽しめる可能性が高いです。のんびりとした雰囲気の中で、サーフトリップを満喫したい人に向いています。
ただし、ダナンほどサーフショップやレンタル環境が充実しているわけではないため、自分のボードを持参するか、事前にショップの情報をしっかりと調べておく必要があります。
ムイネー(Mui Ne)とファンラン(Phan Rang)
さらに南下した場所にある「ムイネー」や「ファンラン」は、基本的には強風を利用したカイトサーフィンの聖地として世界的に有名です。しかし、風が弱まる早朝などのタイミングを狙えば、サーフィンも十分に楽しめます。
特にファンランは、リーフブレイクのポイントがあり、条件が整えば素晴らしい波に出会える「穴場」的存在です。風の影響を受けやすいため、コンディションを読むのは難しいですが、アドベンチャー志向のサーファーにはたまらないエリアと言えるでしょう。
これらのエリアへのアクセスは、ホーチミンからバスや列車を利用するのが一般的です。旅の難易度は少し上がりますが、開拓精神のあるサーファーなら一度は訪れてみる価値があります。
ベトナムサーフィンのベストシーズンと波のコンディション

サーフトリップを成功させるために最も重要なのが「シーズン選び」です。ベトナムの波は、季節風(モンスーン)の影響を強く受けます。時期を外すと「全く波がないフラットな海」ということもあり得るため、事前の確認が必須です。
ここでは、メインとなるシーズンと、それぞれの時期の波の特徴、そして服装(ウェットスーツ)の目安について解説します。
【ベトナム・ダナンのシーズン早見表】
・9月〜3月(ベストシーズン):コンスタントに波がある。北東の季節風によりサイズアップ。
・4月〜8月(オフシーズン):波は小さくフラットが多い。初心者やSUP向け。
メインシーズンは9月から3月(雨季・乾季の変わり目)
ベトナム、特にダナンエリアでのサーフィンにおけるベストシーズンは、一般的に9月から3月頃までと言われています。この時期は北東からの季節風が吹き始め、しっかりとしたうねりが海岸に届きます。
特に11月から2月にかけては波のサイズが上がりやすく、頭〜ダブルサイズの波になることもあります。ただし、この時期はベトナム中部では「雨季」にあたるため、天候が崩れやすいというデメリットもあります。
雨季といっても一日中降り続くことは少なく、スコールのように降って止むことが多いですが、海の水が茶色く濁ることもあります。クリーンな波を求めるなら、雨季の始まりである9月〜10月や、乾季に入り始める3月頃が狙い目です。
夏場(4月〜8月)は小波でスクール向け
4月から8月にかけては、ダナンは乾季となり、天気は最高で海の色も透き通るようなブルーになります。しかし、サーフィンに関しては「オフシーズン」となります。風向きが変わり、うねりが入りにくくなるため、海は湖のように穏やかになります。
この時期は、サーフィンを全くやったことがない人が体験スクールを受けるには最適です。膝〜腿程度の優しい波で、恐怖心を感じることなく練習できます。また、SUP(スタンドアップパドルボード)でのクルージングを楽しむには最高の季節です。
ショートボードでガッツリ波に乗りたい上級者にとっては物足りない時期ですが、ロングボードでゆったり楽しむなら、この時期の朝夕を狙うのも一つの手です。観光をメインにして、波があればラッキー程度に考えるのが良いでしょう。
水温とウェットスーツの目安
ベトナムは熱帯モンスーン気候に属しており、年間を通して温暖です。しかし、サーフィンのベストシーズンである冬場は、気温・水温ともに少し下がります。
・4月〜10月:水温は28〜30度近くあります。トランクス(海パン)やビキニ、ラッシュガードだけで快適に過ごせます。日差しが強烈なので、日焼け対策は必須です。
・11月〜3月:気温は20度〜25度、水温も22度〜25度程度になります。天気が悪い日や風が強い日は、海から上がった後に寒さを感じることがあります。タッパー(上半身だけのウェット)やスプリング、寒がりの方はロンスプ(長袖・半ズボン)があると安心です。
3mmのフルスーツが必要になることはまずありませんが、風対策として薄手のジャケットを一枚持参することをおすすめします。
サーフトリップの費用相場と準備するもの

「実際、ベトナムへのサーフトリップはいくらかかるの?」というのは、最も気になるポイントの一つでしょう。ここでは、3泊4日程度のダナン旅行を想定した費用の目安と、持っていくべきアイテムについて解説します。
円安の影響があるとはいえ、ハワイや欧米への旅行に比べれば、ベトナムは依然として財布に優しい国です。
航空券とビザの最新情報
航空券の価格は時期や予約のタイミングによりますが、日本の主要空港からダナンへの往復直行便は、LCC(格安航空会社)を利用すれば往復4万円〜7万円程度で購入可能です。フルサービスの航空会社(ベトナム航空など)でも、セール時期を狙えば6万円〜8万円程度で手に入ります。
入国条件は変更される可能性があるため、必ず大使館の公式情報や最新の渡航情報をチェックするようにしてください。
宿泊費・食費・移動費の目安
現地の滞在費は、予算に応じて大きく調整できます。バックパッカースタイルのゲストハウスであれば1泊1,000円〜2,000円、清潔な中級ホテルなら1泊3,000円〜6,000円、海沿いのラグジュアリーホテルでも1泊15,000円〜30,000円程度です。
食費に関しては、ローカル屋台のバインミー(サンドイッチ)が約150円〜200円、フォー(麺料理)が約200円〜400円です。お洒落なレストランでビールを飲んで食事をしても、一人2,000円〜3,000円あれば十分豪遊できます。
移動には「Grab(グラブ)」アプリが必須!
ベトナムでの移動は、配車アプリの「Grab」が圧倒的に便利です。行き先を地図上で指定でき、料金も事前に確定するため、タクシーのぼったくり被害に遭う心配がありません。バイクタクシーを選べば、さらに格安で移動できます。
ボードはレンタル?それとも持参?
ダナンのミーケビーチ周辺には、質の高いレンタルボードを用意しているショップが増えています。ショートボードからロングボード、ソフトボードまで種類も豊富です。レンタル料金の相場は、1時間あたり約500円〜800円、1日レンタルで約1,500円〜2,500円程度です。
3泊4日程度の短期旅行であれば、航空会社のボードチャージ(追加手荷物料金)や移動の手間を考えると、レンタルの方が手軽で安上がりな場合が多いです。特にLCCを利用する場合、ボードの持ち込み料が高額になることがあります。
一方で、使い慣れた自分のボードで最高のパフォーマンスをしたい場合や、特殊なスペックのボードに乗りたい場合は持参することをおすすめします。ベトナム航空などのレガシーキャリアでは、スポーツ用品の受託手荷物ルールが優遇されている場合があるので、チケット購入時に確認しましょう。
現地での注意点とマナー

楽しいサーフトリップにするためには、トラブルを未然に防ぐことが大切です。ベトナムは比較的治安が良い国ですが、日本とは異なる交通事情や海のルールが存在します。
ここでは、現地で安全に過ごすために知っておくべき注意点とマナーについて解説します。
交通事情とバイクの多さに注意
ベトナムに到着して最初に驚くのは、そのバイクの多さでしょう。信号無視や逆走も日常茶飯事で、道路を横断するだけでも一苦労です。歩行者優先という概念はあまり浸透していないため、道路を渡る際は、ゆっくりと一定の速度で歩き続け、バイクに自分を避けさせるのがコツです。
また、現地でバイクをレンタルしてポイント移動をするサーファーもいますが、国際免許証の手続きや、事故のリスクを考えるとあまりおすすめできません。慣れていない方は、Grabタクシーや配車バイクを利用するのが賢明です。
海での安全管理とカレント
ベトナムの海には、ライフセーバーが常駐しているエリアもありますが、全てのポイントをカバーしているわけではありません。特に冬場のシーズン中は、波が高くなり、強いカレント(離岸流)が発生することがあります。
自分の技量を過信せず、無理なコンディションの時は海に入らない勇気を持つことが大切です。また、サーファーだけでなく、海水浴客も同じエリアにいることがあるため、衝突事故には十分注意してください。
リーシュコードの点検を忘れずに行い、初めて入るポイントでは、現地のショップやローカルサーファーに危険な場所やカレントの流れについて尋ねると良いでしょう。
衛生面と体調管理
ベトナムの水道水は飲めません。歯磨きの際もミネラルウォーターを使用する方が安心です。また、ローカル食堂での食事でお腹を壊す原因として多いのが「氷」です。心配な方は「氷なし(No Ice)」で飲み物を注文しましょう。
日差しの強さも侮れません。海に入っている間は涼しく感じても、強烈な紫外線で火傷のような日焼けをしてしまうことがあります。日焼け止めはウォータープルーフの強力なものを日本から持参し、こまめに塗り直すか、サーフハットを着用して対策しましょう。
ベトナムサーフィンまとめ:次の旅先はここに決まり!
ベトナムサーフィンの魅力について、シーズンやスポット、費用面などから詳しく解説してきました。
ベトナムは、「近い・安い・波が良い・ご飯が美味しい」と、サーファーにとって嬉しい条件が揃った素晴らしいデスティネーションです。特にダナンは、サーフィン初心者のデビュー戦から、上級者のファンウェーブハントまで、幅広いレベルのサーファーを受け入れてくれる懐の深さがあります。
メインシーズンの9月から3月を狙えば、きっと忘れられない良い波に出会えるはずです。もちろん、波乗りだけでなく、異国情緒あふれる街並みや美味しいベトナム料理も旅の大きな楽しみとなるでしょう。
次の休みはボードを持って(あるいは手ぶらで)、ベトナムへ飛び立ってみませんか?まだ見ぬ素晴らしい波と、温かいベトナムの風があなたを待っています。



