サーフィンを始めるとなると、まず直面するのが「サーフボードをどうやって車で運ぶか」という問題です。大事なマイボードを手に入れたものの、いざ車に積もうとしたら「意外と入らない」「固定方法が不安」といった悩みを抱える方は少なくありません。無理な積み方はボードを破損させるだけでなく、思わぬ事故につながる危険性もあります。
そこで今回は、サーフボードを車に安全かつスマートに積む方法を徹底的に解説します。車内への「中積み」とルーフキャリアを使った「屋根積み」それぞれのコツから、サーファーに支持されるおすすめの車種、さらに車内での着替えや準備を快適にする便利グッズまで幅広くご紹介します。
これからサーフィンデビューする初心者の方はもちろん、もっと快適なサーフィンライフを送りたいと考えている経験者の方も、ぜひ参考にしてください。
サーフィンボードを車に中積みするメリットと積み方のコツ

サーフボードを車の中に積む「中積み」は、多くのサーファーが実践している最も手軽な運搬方法です。専用の道具がなくても始められますが、ボードを傷つけないための工夫や、同乗者のスペース確保など、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
中積みの最大のメリットは「安心感」
中積みの最大のメリットは、なんといってもセキュリティ面と走行中の安心感です。車内にボードがあるため、コンビニや食事処に立ち寄った際でも盗難のリスクを大幅に減らすことができます。また、高速道路を走行中に強風でボードが煽られる心配や、風切り音に悩まされることもありません。
さらに、雨や直射日光、排気ガスなどの外的要因からボードを守ることができるため、デリケートなサーフボードの劣化を防ぐという意味でも非常に有効です。特に真夏の炎天下では、ボードが高温になりワックスが溶け出す恐れがあるため、エアコンの効いた車内での保管は理にかなっています。
車内バーを活用して天井スペースを有効活用
車内にボードを積む際、シートの上にそのまま置くと人が座れなくなったり、荷物が積めなくなったりします。そこでおすすめなのが「インテリアバー(車内用キャリア)」の活用です。アシストグリップ(手すり)にバーを渡すことで、天井付近のデッドスペースをボード収納場所に変えることができます。
この方法なら、足元のスペースを確保できるため、荷物が多くても整理整頓しやすくなります。バーを使用する際は、ボードが天井に当たらないようクリアランスを確認し、走行中の振動でボードが暴れないよう、バンドやロープでバーにしっかり固定することが重要です。
ボードを保護するためのケース選び
中積みをする場合でも、サーフボードを裸のまま積むのは避けましょう。急ブレーキ時にボードが滑ってフロントガラスに衝突したり、ボードについたワックスが車のシートや内装に付着したりするトラブルを防ぐためです。最低でも「ニットケース(ソフトケース)」、できればクッション性のある「ハードケース」に入れるのが鉄則です。
ケースに入れることで、万が一ボード同士がぶつかった時の衝撃を和らげることができます。特にショートボードを複数枚積む場合は、フィンを外すか、フィン部分をタオルで保護して重ねるようにしましょう。これにより、ボードの凹み(ディング)を防ぐことができます。
汚さない工夫と掃除のしやすさ
海から上がった後のボードやウェットスーツには、海水や砂がたくさん付いています。そのまま車内に入れると、シートの隙間に砂が入り込み、掃除が非常に大変になります。中積みをする際は、ラゲッジルームに防水トレイやレジャーシートを敷いておくのが賢い方法です。
また、ボードを載せる前には、必ず真水で砂を洗い流し、水分を拭き取ってからケースに入れましょう。少しの手間ですが、この習慣をつけることで車内を清潔に保ち、愛車のサビやカビの発生を防ぐことにつながります。
車のルーフキャリアにサーフィンボードを固定する正しい手順

ロングボードなど車内に入りきらない長いボードを運ぶ場合や、家族や友人と乗り合わせて海に行く場合は、車の屋根に積む「屋根積み(ルーフキャリア積載)」が必須となります。一見難しそうに見えますが、正しい手順と道具を使えば誰でも安全に行えます。
必要なアイテムとベースキャリアの準備
屋根積みを行うには、まず車体に「ベースキャリア」を取り付ける必要があります。車種ごとに適合するモデルが異なるため、カー用品店などで確認して購入しましょう。ベースキャリアの上には、サーフボード専用のアタッチメント(パッドやクッション)を装着します。
金属のバーに直接ボードを乗せると、締め付けた際にボードが破損する原因になります。必ず専用のウレタンパッドなどを巻き付け、その上から固定用のベルト(タイダウンベルト)を使用してください。最近では、工具不要で簡単に脱着できる「ソフトラック」という簡易キャリアも販売されていますが、高速走行をする場合はしっかりしたベースキャリアの使用を推奨します。
ボードを積む向きと固定の手順
サーフボードをキャリアに積む際の「向き」にはセオリーがあります。基本的には「フィンを上にして、テール(フィンのある方)を車の進行方向(前)に向ける」のが一般的です。これは、万が一固定ベルトが緩んだ際に、フィンがベルトに引っかかり、ボードが後方へ飛び出すのを防ぐためです。
また、ボードの反り(ロッカー)に合わせて、風の抵抗を受けにくい向きに調整することも大切です。ボードを載せたら、タイダウンベルトを2本のバーに通し、ボードを締め付けます。この時、締めすぎるとボードのレール(側面)がつぶれてしまうので注意が必要ですが、緩すぎると風圧でズレてしまいます。「ボードを揺すってみて、車体ごと揺れるくらい」が固定の目安です。
走行中の安全確認と風切り音対策
屋根積みで最も怖いのは、走行中のボード落下事故です。出発前には必ずベルトの緩みがないかを確認し、余ったベルトの端は風でバタつかないようにしっかりと結んで処理してください。ベルトがバタつくと、ボディを叩いて傷つけたり、不快な騒音の原因になったりします。
高速道路のサービスエリアなどで休憩する際も、ベルトが緩んでいないか再確認する癖をつけましょう。特に雨の日や新品のベルトを使う場合は、振動や水濡れでベルトが伸びて緩みやすくなることがあります。こまめなチェックが安全運転への第一歩です。
高さ制限への注意
ボードを屋根に積むと、車高が大幅に高くなります。普段は何気なく通っている高架下や、ショッピングモールの立体駐車場、ドライブスルーなどの高さ制限(一般的に2.1m〜2.3m制限が多い)に引っかかる可能性が出てきます。
自分の車の「キャリア積載時の全高」を把握しておくことは非常に重要です。運転席の見える位置に高さを書いたメモを貼っておくなどして、うっかり衝突事故を起こさないよう常に意識しておきましょう。特にロングボードを積んだハイエースなどのハイルーフ車は、3m近い高さになることもあるため警戒が必要です。
サーフィンに最適なおすすめの車選びのポイント

サーファーにとって車は、単なる移動手段ではなく「更衣室」であり「休憩所」であり「倉庫」でもあります。これから車を買い替える、あるいはレンタカーを借りる際にチェックすべき、サーフィン向きの車の条件をご紹介します。
荷室の広さとシートアレンジ
サーフボード、ウェットスーツ、ポリタンク、着替えなど、サーフィンの荷物は意外とかさばります。そのため、荷室(ラゲッジスペース)が広く、開口部が大きい車が有利です。特に重要なのがシートアレンジです。後部座席や助手席を倒したときに段差がなく「フルフラット」になる車は、中積みもしやすく、車中泊でも快適に過ごせます。
防水・撥水シートなどの内装機能
海辺のアウトドアスポーツである以上、どうしても車内が水や砂で汚れやすくなります。そこでおすすめなのが、シートや床材に「防水・撥水加工」が施されている車種です。日産のエクストレイルなどが代表的ですが、濡れたままのウェットスーツで座っても染み込まず、汚れてもサッと拭き取れる素材はサーファーにとって神機能と言えます。
おすすめ車種1:ハイエース・キャラバン(ワンボックス)
サーファーの王道といえば、トヨタ「ハイエース」や日産「キャラバン」です。圧倒的な積載量を誇り、ロングボードでも中積みが余裕で可能です。ベッドキットを組んで車中泊仕様にカスタムする楽しみもあり、多くのプロサーファーも愛用しています。荷物の出し入れもしやすく、まさに「動く部室」として活躍します。
おすすめ車種2:SUV(エクストレイル・フォレスター)
砂浜の駐車場や未舗装の悪路を走る機会が多いなら、SUVが最適です。日産「エクストレイル」やスバル「フォレスター」などは、4WD性能が高く、スタック(砂にタイヤが埋まること)のリスクを減らせます。防水シートや汚れに強いラゲッジボードを標準装備しているモデルも多く、アクティブなサーファーにぴったりです。
おすすめ車種3:軽バン(N-VAN・エブリイ)
維持費を抑えたい方や、ソロサーファーにおすすめなのが「軽バン」です。特にホンダ「N-VAN」は、助手席まで完全に平らになる画期的なシートアレンジにより、軽自動車でありながらロングボードの中積みが可能です。スズキ「エブリイ」なども天井が高く、インテリアバーを活用した収納力に優れています。
サーファー必見!車内での快適性を高める便利グッズ

車でのサーフィンライフをより快適に、そして安全にするためには、いくつかの便利グッズを揃えておくのがおすすめです。「これさえあれば間違いない」という定番アイテムを厳選しました。
セキュリティ対策の必需品「キーボックス」
最近の車は電子キー(スマートキー)が主流のため、鍵を持って海に入ることができません。そこで必須となるのが、車の鍵を収納してドアノブや牽引フックにロックしておける「キーボックス(サーフロック)」です。暗証番号式が一般的で、防犯対策として欠かせません。ただし、スマートキーの電波を遮断するアルミパックに入れてから収納しないと、車のそばで解錠されてしまう恐れがあるため注意しましょう。
快適な着替えをサポートする「電動シャワー&ポリタンク」
サーフポイントにシャワー設備があるとは限りません。車に真水を入れたポリタンクと、シガーソケットやUSB充電で作動する「簡易シャワー」を積んでおけば、海上がりに温かいお湯で体を流すことができます。特に冬場のサーフィンでは、お湯を浴びられるかどうかが死活問題となります。ポリタンクに保温カバーを被せておけば、朝に入れたお湯の温度を夕方までキープできます。
車内を濡らさない「防水シートカバー」
ポイント移動をする際、濡れたウェットスーツのまま運転したい場面があります。そんな時に役立つのが、ヘッドレストに被せるだけで装着できる「防水シートカバー」です。ネオプレーン素材などの厚手のものであれば、水を通さず座り心地も損ないません。安価なもので十分機能するので、運転席と助手席用に1枚ずつ用意しておくと便利です。
大量の濡れ物を運ぶ「防水バケツ・バッグ」
脱いだウェットスーツやタオル、リーシュコードなどをまとめて放り込める、大きめの「フレキシブルバケツ(ソフトバケツ)」はマストアイテムです。四角い形状のものなら車のラゲッジにも収まりやすく、着替えの際に足元に置いて「着替え用の桶」としても使えます。砂がついたままのウェットスーツをそのまま入れて持ち帰れるので、車内を汚しません。
メモ:
これらのグッズは、100円ショップやホームセンターのアイテムで代用できることもありますが、サーフィン専用に作られた製品は耐久性や使い勝手が段違いです。特にキーボックスは防犯に関わるため、信頼できるメーカーのものを選びましょう。
意外と知らない?サーフィンボード積載に関する道路交通法と注意点

サーフボードを車に積む際、特に屋根積みや、車からボードがはみ出すような積み方をする場合には、道路交通法による制限を守らなければなりません。知らずに違反してしまうと、取り締まりの対象になるだけでなく、事故の際に保険が適用されないなどのリスクもあります。
積載物の長さ制限は「車長の1.2倍」まで
2022年5月の道路交通法改正により、自動車の積載物の長さ制限が緩和されました。以前は「車体の長さの1.1倍」まででしたが、現在は「車体の長さの1.2倍」まで積載可能です。これにより、以前は積むのが難しかったロングボードも、コンパクトカーなどで運びやすくなりました。
ただし、前後のはみ出し可能な範囲は「車体の前後からそれぞれ車長の10分の1(0.1倍)まで」という制限があります。例えば、全長4mの車であれば、長さ4.8mまでの物を積めますが、前後のはみ出し量にも注意が必要です。
車幅からはみ出すのはNG
長さの制限は緩和されましたが、「車幅」に関する制限は厳しいままです。サーフボードを屋根に積む際、車の横幅からはみ出して積載することは原則禁止されています。ロングボードを横向きに積むようなことはまずありませんが、ショートボードを車内に横向きに入れる際など、窓から飛び出したりしないよう注意してください。サイドミラーの幅ではなく、あくまで「車体の幅」が基準です。
はみ出す場合の「赤い布」のルール
もしボードが車体からはみ出して積載される場合(かつ制限の範囲内である場合)、後続車にはみ出しを知らせるために、積載物の先端(一番後ろの部分)に「0.3メートル(30cm)四方の赤い布」を付ける義務があります。これを怠ると「積載方法違反」となります。
昼間は赤い布で良いですが、夜間に走行する場合は、布の代わりに「赤色の灯火(ライト)」または「赤色の反射器」を取り付ける必要があります。安全のためにも、少しでもはみ出すようであれば、周囲への配慮として目立つ目印をつけることをおすすめします。
サーフィンボードと車に関するまとめ
サーフィンボードを車に積む際は、「中積み」なら車内用バーやケースを活用して汚れとスペース対策を、「屋根積み」なら正しい向きと強固な固定で落下防止を徹底することが大切です。また、車選びにおいては積載量だけでなく、防水シートやフルフラット機能など、サーファー視点での利便性をチェックすると失敗がありません。
そして忘れてはならないのが、道路交通法の遵守です。長さ制限「車長の1.2倍」や、はみ出す際の「赤い布」のルールを正しく理解し、自分自身だけでなく周囲の交通安全にも配慮しましょう。
適切な運搬方法と便利なグッズ、そして頼れる相棒となる車があれば、海への道のりはもっと楽しく快適になります。ぜひ万全の準備を整えて、最高の波乗りライフを楽しんでください。




