サーフィンアップスで加速する!初心者でも分かるコツと練習法

サーフィンアップスで加速する!初心者でも分かるコツと練習法
サーフィンアップスで加速する!初心者でも分かるコツと練習法
上達・テクニック・陸トレ

サーフィンを始めて少し経ち、ようやくテイクオフが安定して横に滑れるようになってきた頃、多くのサーファーが直面する壁があります。それは「スピードが出ない」という悩みです。波に置いていかれたり、スープに捕まってしまったりして、思うようにロングライドができないことはありませんか。

そんな時に習得したいのが「サーフィンアップス(アップスアンドダウン)」です。これは、波の力を利用してボードを加速させる、サーフィンの基本かつ最重要なテクニックの一つです。スピードがつけば、次の技へのアプローチもスムーズになり、サーフィンの楽しさが何倍にも広がります。この記事では、アップスの仕組みから実践的なコツまでを分かりやすく解説します。

サーフィンアップスとは?加速を生む仕組みを理解しよう

まずは、サーフィンアップスという言葉の意味と、なぜその動きでスピードが出るのかという基本的な仕組みについて理解を深めましょう。ただ闇雲にボードを動かすのではなく、理屈を知っているだけで上達のスピードは格段に上がります。

アップスアンドダウンの基本定義

一般的に「アップス」と略されることが多いですが、正式名称は「アップスアンドダウン(Ups and Downs)」と言います。名前の通り、波の斜面(フェイス)を上がったり下がったりを繰り返す動作のことです。

初心者のうちは、テイクオフした後に一直線に滑っていくだけになりがちですが、これだけでは波のパワーを十分に受け取れず、失速してしまうことがあります。アップスは、波の斜面を上下に移動することで、重力と遠心力を推進力に変えるテクニックです。これができると、パワーのない波でも自分でスピードを生み出し、セクションを繋いでいくことが可能になります。

重力と揚力を利用した加速の原理

アップスで加速する原理は、自転車で坂道を下る時の感覚や、ブランコを漕ぐ時の原理に似ています。波のトップ(高い位置)からボトム(低い位置)へ降りる時に、重力を利用して「下り坂」のスピードを得ます。これが一番分かりやすい加速の源です。

そして、ボトムからトップへ上がる時には、ターンによる遠心力やボードの揚力を利用します。この「上がる動き」と「下りる動き」をリズミカルに連続させることで、まるでポンプで空気を送るように次々とスピードが増幅されていくのです。単にボードを上下させているわけではなく、それぞれの位置で適切な荷重と抜重を行っている点がポイントです。

波のトップは位置エネルギーが高く、ボトムへ向かうことでそれが運動エネルギー(スピード)に変わります。このエネルギー変換を効率よく行うのがアップスの本質です。

レールワークとの密接な関係

アップスは単に体を上下させる屈伸運動ではありません。最も重要なのは、サーフボードの「レール」を使うことです。ボードをフラット(平ら)にしたまま上下に動かしても、水面との摩擦が大きくなるだけで、あまり加速しません。むしろ失速の原因にもなります。

加速するためには、右へ行く時なら右側のレール、左へ行く時なら左側のレールをしっかりと水面に食い込ませる必要があります。レールが入ることでボードは波の斜面にグリップし、反発力が生まれます。レール・トゥ・レール(Rail to Rail)と呼ばれる、左右のレールを交互に入れ替える操作が、アップスの動きの核となっているのです。

正しいフォームと視線が成功の鍵

仕組みが分かったところで、次は具体的なフォームについて解説します。間違った姿勢で練習を続けても、変な癖がついてしまい、後で修正するのが大変になります。最初から理想的なフォームを意識して練習に取り組みましょう。

スタンスと重心の位置

アップスを行う際のスタンスは、肩幅よりも少し広めくらいが基本です。広すぎると細かい動きができず、狭すぎるとバランスを崩しやすくなります。足の位置は、前足はボードの中心よりやや前、後ろ足はテール付近のデッキパッド上が目安です。

重心は常にボードの中心にある「センターバランス」を意識しますが、加速したい時は少し前足荷重気味にします。ただし、極端に前足に体重を乗せすぎるとノーズが刺さる原因になります。基本は両足均等荷重から、状況に応じて6:4くらいの割合で前足に体重を移動させるイメージを持つと良いでしょう。身体の軸がブレないように、腹筋に力を入れて体幹を安定させることが大切です。

膝の柔軟性と屈伸運動

「アップス=屈伸運動」と言われるほど、膝の使い方は重要です。しかし、ただ膝を曲げ伸ばしすれば良いわけではありません。重要なのは「柔らかさ」です。膝が硬いままだと、波の凹凸を拾ってしまい、ガタガタと振動して失速してしまいます。

膝はサスペンションのように使い、波からの衝撃を吸収しつつ、逆にその反発力を推進力に変えるバネの役割も果たします。トップに上がる時は膝を少し伸ばして身体を軽くし(抜重)、ボトムに降りる時は膝を曲げてしっかりとボードに体重を乗せる(荷重)動きを意識してください。このリズムが加速を生みます。

進行方向をリードする視線

サーフィンにおいて「視線」は魔法のような力を持っています。人間は不思議なもので、見た方向に自然と体が動き、ボードもそちらへ向かっていきます。アップスがうまくいかない人の多くは、足元やノーズのすぐ先を見てしまっています。

視線は常に「行きたい場所」に向けましょう。波のトップへ上がりたいならトップを、そこから加速して抜けたいセクションがあるならその先を見ます。常に3〜5メートル先を見るくらいの意識でちょうど良いです。視線が先行することで、肩が回り、腰が回り、足へと力が伝わり、スムーズなターンが可能になります。

視線が下がると背中が丸まり、バランスが悪くなります。胸を張って、遠くを見るように心がけましょう。

実践!アップスアンドダウンの段階的ステップ

ここからは、実際に海の上でアップスを行う際の手順を、細かく分解して解説します。一連の流れを頭の中でシミュレーションしながら読んでみてください。タイミングとリズムが全てです。

ステップ1:テイクオフからボトムターンへの導入

まずは確実なテイクオフが必要です。波をキャッチしたら、焦ってすぐにアップスを始めようとせず、一度しっかりとボトム(波の低い位置)へ降ります。この「最初のひと滑り」で初速をつけることが、その後のアップスの成功率を大きく左右します。

ボトムへ降りる際、膝を軽く曲げてタメを作ります。そして、視線を波のトップ(リコシェや崩れそうなリップではなく、これから走るフェイスの上部)に向けます。この時、少しだけつま先側(フロントサイドの場合)またはかかと側(バックサイドの場合)に体重をかけ、レールを波に入れます。

ステップ2:波のトップへ駆け上がる(抜重)

ボトムで得たスピードと、レールを入れたターンを利用して、波のトップへ向かって駆け上がります。この時、曲げていた膝を少しずつ伸ばしていくイメージです。これを「抜重(ばつじゅう)」と言います。身体を軽くすることで、ボードがスッと上へ登りやすくなります。

完全に波の頂上まで登り切る必要はありません。波のフェイスの上部3分の1くらいのエリアを目指しましょう。登りすぎると波の裏側へ落ちたり、スープに捕まったりするリスクがあります。あくまで「次の加速のための位置エネルギーを確保しに行く」という意識です。

ステップ3:頂点での切り返しとレールの入れ替え

波の上部に到達したら、次はボトムへ降りる準備に入ります。ここで重要なのがレールの切り返しです。登る時に使っていたレールから、一度ボードをフラットに戻し、すぐさま反対側のレールへ切り替える意識を持つ…と言いたいところですが、初心者のうちは「板を下に向ける」ことだけに集中しても構いません。

頂点で一瞬体が浮くような感覚があるかもしれません。そのタイミングで視線を次のボトム(斜め下の進行方向)に向けます。上半身をリードさせて、ボードのノーズを下方向へ向け始めます。この切り返しのリズムが遅れると失速の原因になります。

ステップ4:ボトムへの加速(荷重)

ボードが下を向いたら、ここが一番の加速ポイントです。重力に従って落ちていくボードに対し、自分の体重をしっかりと乗せて踏み込みます。これを「荷重(かじゅう)」と言います。膝を曲げ、ボードを押し込むようにしてスピードを倍増させます。

単にしゃがむのではなく、ボードを進行方向へ「押し出す」ようなイメージを持つと良いでしょう。サーフボードのフィンが水を噛み、グンと加速する感覚を味わえるはずです。この「踏み込み」が強ければ強いほど、大きなスピードが生まれます。

ステップ5:上半身と腕のリード

足元の操作ばかりに気を取られがちですが、上半身、特に腕の使い方は非常に重要です。腕はバランスを取るだけでなく、動きを先行させる役割があります。トップへ上がる時は進行方向の手を上げ、ボトムへ降りる時はその手を振り下ろすように使うと、体重移動がスムーズになります。

また、後ろの手も重要です。後ろの手が死んでいる(ダラリとしている)と、上半身の回転が止まってしまいます。両手を広げてバランスを取りつつ、走る方向へ胸を開いていく動作を補助するように腕を使いましょう。リズミカルに腕を振ることで、下半身の屈伸運動とも連動しやすくなります。

腕を振ることでリズムを作りやすくなります。「イチ、ニ、イチ、ニ」と頭の中でカウントを取りながら腕と膝を連動させてみましょう。

よくある失敗と改善ポイント

頭では分かっていても、海の上ではなかなか上手くいかないものです。ここでは初心者が陥りやすい典型的なミスと、それを修正するためのポイントを紹介します。自分の動きに当てはまっていないかチェックしてみてください。

ボードだけをパタパタ動かしている

最も多いのが、膝や腰を使わずに足首だけでボードを左右に揺らしているパターンです。これは「貧乏ゆすり」のような状態で、見た目が悪いだけでなく、全く加速しません。むしろレールが抵抗になって失速します。

改善するためには、レールをしっかり入れる意識を持つことです。ボードの裏面(ボトム)を見せるつもりで、大きく深くレールを入れましょう。また、足首だけでなく、膝と腰を使って体全体でボードを傾けるように意識してください。小手先の動きではなく、ダイナミックな動きが必要です。

前傾姿勢になりすぎている

「スピードを出したい!」という気持ちが強すぎて、上半身が前のめりになってしまうケースです。頭が膝よりも前に出てしまうと、レールに体重が乗らず、バランスを崩しやすくなります。また、ノーズが水面に刺さりやすくなり、ワイプアウトの原因にもなります。

基本姿勢は、骨盤の上にしっかりと上半身が乗っている状態です。胸を張り、お尻を少し落とすようなスクワットの姿勢を思い出してください。視線を上げるだけでも、過度な前傾姿勢は防げます。常に「腰で乗る」感覚を大切にしましょう。

ターンの弧が小さすぎる

波のフェイスが広いのに、ちょこちょこと小さく動いてしまっている人もよく見かけます。波のサイズが小さい時はそれでも良いですが、ある程度サイズがある波や、フェイスが張っている波では、大きなラインを描く方が加速します。

波のトップからボトムまで、フェイスを広く使いましょう。大きく上がって、大きく下がる。この高低差があればあるほど、スピードは増します。最初は怖がらずに、普段よりも少し高い位置まで上がってみる、少し低い位置まで降りてみる、というように可動域を広げる練習をしてみてください。

小さな波では細かいピッチで、大きな波ではゆったりとした大きなピッチで。波の状況に合わせてリズムを変えるのが上級者への第一歩です。

陸でもできる!効果的な練習方法

サーフィンは海に行ける回数が限られているスポーツです。だからこそ、陸でのトレーニング(陸トレ)が上達の鍵を握ります。アップスの感覚を養うために家や近所でできる練習方法を紹介します。

サーフスケートでの反復練習

アップスの練習に最も効果的なのが、サーフスケート(CarverやYOWなど)です。前輪が首を振るタイプのスケートボードを使えば、陸上で波乗りの動きをリアルに再現できます。コンクリートの上なら波待ちの時間もなく、何度も反復練習が可能です。

練習の際は、平地で加速する練習から始めましょう。上半身をひねり、その力が下半身に伝わり、ボードが加速する感覚を覚えます。膝の屈伸と腕の振りを連動させ、リズミカルに加速できるようになりましょう。実際に少し傾斜のある場所で行うと、より実践的なアップスアンドダウンの練習になります。

スクワットで下半身強化

アップスは想像以上に太ももやお尻の筋肉を使います。良い波に乗ってロングライドした後に、足がパンパンになった経験はありませんか?下半身の筋力が不足していると、粘りのあるターンや力強い踏み込みができません。

基本的なスクワットで構いませんので、日常的に行うことをおすすめします。特に、ゆっくりと腰を落とし、素早く立ち上がる動作を繰り返すと、瞬発力も鍛えられます。また、バランスディスクなどの不安定な足場でスクワットを行えば、体幹も同時に鍛えられ、サーフィンに必要なバランス感覚も養えます。

歯磨きの間やテレビを見ている時など、「ながらトレーニング」でも十分効果があります。継続することが何より大切です。

イメージトレーニングと動画分析

上手なサーファーの動画を見ることは、脳内のイメージを書き換えるために非常に有効です。プロサーファーの試合映像や、フリーサーフィンの動画を見て、彼らがどのように膝を使っているか、どのタイミングで腕を振っているかを観察してください。

特に「自分と同じくらいのレベルより少し上手い人」の動画も参考になります。あまりにも上手すぎるプロの動きは真似できないこともありますが、身近な上級者の動きにはヒントがたくさん隠されています。海に入る前日や直前に良いイメージを頭に入れておくだけで、実際の動きが変わってきます。

まとめ:サーフィンアップスをマスターして次のレベルへ

まとめ
まとめ

サーフィンアップスは、波に乗る楽しさを何倍にも広げてくれる必須のテクニックです。単にスピードを出すだけでなく、波のセクションを抜けたり、カットバックやリップアクションといった次の技へ繋げるための土台となります。

今回解説したように、アップスは「重力と揚力の利用」「膝の屈伸」「レールワーク」「視線」といった要素が組み合わさって初めて成立します。最初はぎこちない動きになってしまうかもしれませんが、諦めずに練習を続けてください。

海に入れない日はサーフスケートで身体の動かし方を覚え、海に入ったら焦らずに「大きく、リズミカルに」を意識しましょう。スピードがついた時の、風を切るような疾走感は格別です。アップスをマスターして、今まで抜けられなかった波を駆け抜け、サーフィンの新しい景色を楽しんでください。

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