パドリング上達でサーフィンが変わる!初心者でも疲れないコツと練習法

パドリング上達でサーフィンが変わる!初心者でも疲れないコツと練習法
パドリング上達でサーフィンが変わる!初心者でも疲れないコツと練習法
上達・テクニック・陸トレ

サーフィンを始めたばかりの人が最初にぶつかる大きな壁、それが「パドリング」です。海に入っている時間の8割から9割はこのパドリングをしていると言われるほど、サーフィンにおいて最も基本的かつ重要な動作です。しかし、多くの初心者が「すぐに腕が疲れてしまう」「一生懸命漕いでいるのに全然前に進まない」という悩みを抱えています。

パドリングが上達すると、波をキャッチできる回数が劇的に増え、結果としてライディングの練習量も確保できるようになります。つまり、パドリングの強化こそがサーフィン上達への最短ルートなのです。この記事では、初心者でも楽に、そして速く進むためのパドリングのコツや、陸上でできる効果的なトレーニング方法を詳しく解説します。

サーフィンにおけるパドリングの重要性と基本姿勢

サーフィンを楽しむためには、まずパドリングの技術をしっかりと身につける必要があります。波に乗るための「テイクオフ」も、沖に出るための「ゲッティングアウト」も、すべてはパドリングから始まります。間違ったフォームで漕ぎ続けると、すぐに体力を消耗してしまうだけでなく、腰や肩を痛める原因にもなりかねません。まずは、パドリングがいかに重要か、そしてボード上での正しい基本姿勢について理解を深めましょう。

なぜパドリングがサーフィンの土台なのか

サーフィンというと、波の上を華麗に滑走するシーンを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実際に波に乗っている時間は、2時間のセッションでも数分程度に過ぎません。残りの時間のほとんどは、沖へ出るため、あるいは波を追いかけるためにパドリングをしています。

パドリングのスキルが不足していると、そもそも波がブレイクするポイントまでたどり着けなかったり、良い波が来ても追いつけずに逃してしまったりします。逆に言えば、パドリング力が向上すれば、より多くの波にトライでき、サーフィンの楽しさが何倍にも広がるのです。また、海流に流された際に自力で戻ってくるための「安全確保」という面でも、パドリングは命を守る重要な技術と言えます。

ボード上の正しい位置と重心のとり方

パドリングで最も大切なのは、実は「漕ぎ方」の前に「ボードのどこに乗るか」というポジションです。これを「トリムポジション」と呼びます。ボードに対して身体が前すぎると、ノーズ(先端)が水に沈んでしまい、逆に後ろすぎるとテール(後端)が沈んでブレーキがかかってしまいます。

理想的な位置は、パドリングをしている最中にボードが水面に対して水平(フラット)に保たれる場所です。ショートボードやファンボードであれば、一般的にボードのテール部分につま先が軽く触れるか触れないか、という位置が目安になります。自分のボードの「スイートスポット」を見つけるためには、静止した状態で少しずつ位置をずらし、ボードが最も抵抗なく水面に浮く位置を探ってみてください。

胸を張る姿勢(反り腰)の意味

ボードに乗ったら、みぞおちのあたりを支点にして、上体をしっかりと反らすことが重要です。「胸を張る」姿勢をキープすることで、体重がボードの中心に適切にかかり、ノーズが水面に刺さるのを防ぐことができます。

また、胸を張ることで肩甲骨が動きやすくなり、腕の可動域が広がります。もし胸をボードにつけたまま(猫背の状態)でパドリングをすると、肩の関節だけで腕を回すことになり、すぐに肩が痛くなってしまいます。さらに、目線が自然と高くなることで、沖から来る波や周囲の状況を把握しやすくなるというメリットもあります。最初は背筋がきつく感じるかもしれませんが、この「反り」こそが疲れにくいパドリングの第一歩です。

疲れないパドリングを実現するための漕ぎ方のコツ

「パドリングですぐにバテてしまう」という人の多くは、腕の力だけで漕ごうとしています。しかし、人間の筋肉の中で腕の筋肉は比較的小さく、持久力もそれほどありません。長時間漕ぎ続けるためには、より大きな筋肉を使い、効率的に水を捉える技術が必要です。ここでは、疲れ知らずのパドリングを習得するための具体的なテクニックを紹介します。

背中の筋肉「広背筋」を使う意識

疲れないパドリングの最大の秘訣は、腕ではなく「背中」で漕ぐことです。具体的には、脇の下から背中にかけて広がる「広背筋(こうはいきん)」を使います。腕の力だけで水をかこうとすると、上腕三頭筋や三角筋といった小さな筋肉を酷使してしまい、すぐにパンパンになってしまいます。

広背筋を使うコツは、水をキャッチして後ろに引く際に、肘を引くのではなく「肩甲骨を寄せる」イメージを持つことです。遠くにあるものを手繰り寄せるように、あるいはボートのオールを漕ぐように、身体の中心からパワーを生み出します。この感覚をつかむと、驚くほど楽に、そして力強く進むことができるようになります。

ハイエルボーで効率よく水をキャッチする

水泳のクロールでも使われる「ハイエルボー」という技術は、サーフィンのパドリングでも非常に有効です。ハイエルボーとは、水をかいている最中に、手首よりも肘が高い位置にある状態を指します。

肘が下がった状態で水をかくと、手のひらが水を「撫でる」ような動きになり、推進力が逃げてしまいます。一方、肘を高く保つことで、前腕全体を面として使い、水を後ろへ押し出すことができます。水面に対して前腕を垂直に立てるイメージを持つと良いでしょう。これにより、少ない力で大きな推進力を得ることができ、結果として体力温存につながります。

脱力がカギ!リカバリー時のリラックス

パドリングは「漕ぐ(プル)」動作と、手を前に戻す「リカバリー」動作の繰り返しです。多くの初心者は、手を前に戻す際にも力が入ってしまっています。筋肉は緊張状態が続くと血流が悪くなり、疲労物質が溜まりやすくなります。

水を後ろまでかき切ったら、手首と肘の力を抜き、リラックスした状態で手を前に戻しましょう。指先が水面を擦るくらい脱力していても構いません。この「オン」と「オフ」の切り替えをスムーズに行うことで、筋肉への負担を最小限に抑え、長時間のパドリングが可能になります。「1、2、1、2」とリズムを取りながら、リカバリーの瞬間に息を吐いて力を抜く癖をつけると効果的です。

抵抗を減らす「レールの切り替え」

サーフボードは完全にフラットな状態で進むのが理想ですが、人間が腕を回すと、どうしても身体が左右に揺れようとします。この揺れを無理に止めようとすると余計な力を使います。

上級者のパドリングをよく見ると、右手を漕ぐときはボードの右側がわずかに沈み、左手を漕ぐときは左側が沈むといった具合に、微妙に体重移動を行っています。これを意識しすぎるとバランスを崩しますが、身体の軸をブラさずに、肩のラインに合わせて自然にボードのレール(側面)へ微細な加重を行うことで、スムーズな直進性を生み出しています。無理にガチガチに固まるのではなく、波の揺れに合わせる柔軟性も疲れを軽減するポイントです。

パドリングで進まない原因と改善ポイント

「一生懸命漕いでいるのに、隣の涼しい顔をしたサーファーの方が速い」という経験はありませんか?パドリングが進まないのには、明確な物理的な原因があります。それは主に「推進力が足りない」か「抵抗が大きすぎる」かのどちらかです。ここでは、初心者が陥りがちな「進まない原因」をピックアップし、それぞれの改善策を解説します。

ボードが水平になっていない(ドラッグの発生)

最も一般的な原因は、ボードの抵抗(ドラッグ)です。先述したトリムポジションがずれていると、どれだけ力強く漕いでもブレーキをかけながら進んでいるような状態になります。

特に多いのが、ノーズが上がりすぎているケースです。重心が後ろすぎると、ボードのテール部分が水に深く沈み込み、大きな渦を作って抵抗となります。逆に前すぎるとノーズが水を被り、これも抵抗になります。改善策としては、漕ぎながらアゴを数センチ前後に動かしてみてください。頭の重さは5kgほどあるため、わずかな頭の位置調整だけでボードのバランスが変わります。ボードがスルスルと滑り出す「抵抗が消えるポイント」を常に探りましょう。

手の入水位置と軌道が間違っている

手が水に入るとき(エントリー)の位置や、水中での手の軌道も重要です。よくある間違いは、手が身体の中心線(センターライン)を超えてクロスしてしまう「コンフリクト」と呼ばれる動きです。右手が左側に入ったり、その逆になったりすると、ボードが左右に蛇行してしまい、推進力が直進方向に伝わりません。

正しい入水位置は、肩幅の延長線上か、それよりわずかに外側です。そして、ボードのレール(側面)に沿って、まっすぐ後ろに水を押し出します。サーフボードの下に潜り込ませるように漕ぐ人がいますが、これもバランスを崩す原因になります。レールギリギリのラインを、真っ直ぐ引くことを意識してください。

メモ: 手のひらの形にも注目しましょう。指を完全に閉じると力が入りすぎて前腕が疲れます。指と指の間を数ミリ空けるか、自然に脱力した状態の方が、水の抵抗をうまく捉えられます。

下半身が安定せずボードが暴れている

パドリング中、足がバタバタと動いていたり、大きく開いていたりしませんか?下半身が安定していないと、その振動がボードに伝わり、水面との摩擦抵抗を増やしてしまいます。また、足を開いたまま漕ぐと、足自体が水中でブレーキの役割を果たしてしまいます。

パドリングの際は、両足を揃えて閉じるのが基本です。どうしてもバランスが取れない場合は、膝を閉じて足先だけ少し開くか、足首をクロスさせる方法もあります。下半身を「重り」として使い、ボードのテール側を安定させるイメージを持つと、ブレが収まり、スムーズに進むようになります。お腹に少し力を入れ(ドローイン)、体幹を固めることもボードの安定に寄与します。

目線が下がりすぎている

疲れてくると、どうしても目線が下がり、ボードのノーズあたりや手元の水面を見てしまいがちです。頭が下がると、連動して背中が丸まり、重心が前方に移動してしまいます。その結果、ノーズが沈みかけて抵抗が増えるだけでなく、肩の可動域も狭くなり、効率の良いストロークができなくなります。

改善ポイントは、常に行きたい方向、つまり沖の水平線や目標物を見ることです。目線を上げるだけで自然と胸が張れ、背中の筋肉も使いやすくなります。精神的にも、下を向くより前を見る方がポジティブな気持ちでパドリングを続けられるはずです。

波をキャッチするためのパドリング加速テクニック

沖に出るためのパドリング(クルージングパドル)と、波に乗るためのパドリング(スプリントパドル)は、ギアの入れ方が異なります。波に乗るためには、波の速度に自分のボードの速度を合わせる必要があります。ここでは、テイクオフを成功させるための加速テクニックについて解説します。

波とのタイミングを合わせる助走

波を見つけてからいきなり全力で漕ぎ出すのではなく、段階的にスピードを上げていくのがコツです。まずは波のうねりが近づいてくるのを確認し、リラックスした状態で長く深いストロークを始めます。この段階では、ボードを滑らせて初速をつけることが目的です。

うねりが自分のボードを持ち上げ始めた瞬間が勝負です。このタイミングで、ピッチ(回転数)を上げ、短く力強いストロークに切り替えます。最初から全力でバタバタと漕ぐと、肝心の波が来たときにスタミナ切れになったり、フォームが崩れて失速したりします。「静」から「動」へのスムーズな移行を意識しましょう。

最後の一押し!アゴを下げて重心移動

通常のパドリングでは「胸を張ってアゴを上げる」と説明しましたが、テイクオフの直前、まさに波に押され始めた瞬間だけは、あえて「アゴを下げる(頭を下げる)」テクニックを使います。

波がボードのテールを持ち上げたとき、アゴをぐっとボードに近づけるように頭を下げると、重心が一時的に前方に移動します。これにより、ボードが坂を下るように滑り出しやすくなります。この「重心移動」のきっかけ作りができると、今まで逃していたような厚い波でもキャッチできるようになります。ただし、滑り出した後はすぐに顔を上げないと、そのままノーズダイブしてしまうので注意が必要です。

水のキャッチを深く、強く

波に乗るための最後の数かきは、スピードとパワーが命です。表面の水を撫でるのではなく、腕を水中に深く差し込み、より重たい水を掴むように意識します。この時こそ、広背筋の出番です。

焦ると手が浅くなり、空回りしがちです。心の中で「深く、強く、後ろまで」と唱えながら、確実なストロークを行いましょう。波に置いていかれそうになっても、諦めずにもう一回漕ぐ粘り強さが、テイクオフの成功率を大きく左右します。

陸上でできるパドリング強化トレーニング

週末しか海に行けないサーファーにとって、パドリング力の向上には自宅でのトレーニングが欠かせません。海での実践が一番ですが、必要な筋肉や柔軟性を陸上で養っておくことで、次回のサーフィンが格段に楽になります。ここでは、専用の道具がなくてもできるメニューを中心に紹介します。

パドルチューブ(ゴムバンド)トレーニング

サーフィン専用のパドルチューブや、トレーニング用のゴムバンドを使用した練習は、実際のパドリングの動きを再現できるため非常に効果的です。柱などにチューブを固定し、うつ伏せの状態やバランスボールに乗った状態で、チューブを引っ張ります。

ポイントは、単に腕を引くのではなく、先述した「ハイエルボー」と「肩甲骨の寄せ」を意識することです。低負荷で高回数(例えば50回×3セットなど)行うことで、パドリングに必要な筋持久力を鍛えることができます。鏡を見ながらフォームをチェックできるのも、陸上トレーニングの利点です。

水泳(クロール)でのクロストレーニング

もしプールに通える環境があれば、水泳のクロールは最強のトレーニングになります。使う筋肉や身体の使い方がサーフィンのパドリングと非常に似ているためです。ただし、完全に同じ動きではありません。

サーフィンのための水泳を行う際は、キック(足)をあまり使わず、腕のプルだけで泳ぐ練習を取り入れてみてください。「プルブイ」という浮き具を足に挟んで泳ぐのがおすすめです。これにより、下半身に頼らず上半身の筋力だけで推進力を生む感覚が養われ、実際のパドリングに直結する持久力がつきます。

背筋(脊柱起立筋)を鍛えるバックエクステンション

パドリング中、常に胸を張った姿勢を維持するには、背中の筋肉、特に背骨に沿った「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」の強さが必要です。ここが弱いと、すぐに腰が痛くなったり、姿勢が崩れて猫背になったりします。

床にうつ伏せになり、両手を頭の後ろや耳の横に添えて、ゆっくりと上半身を持ち上げる「バックエクステンション」を行いましょう。反動を使わずに、じっくりと筋肉の収縮を感じながら行うのがコツです。これにより、長時間海に入っていても、理想的なパドリング姿勢をキープできる「土台」が作られます。

肩甲骨周りの柔軟性を高めるストレッチ

筋力と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが「柔軟性」です。特に肩甲骨周りが硬いと、腕がスムーズに回らず、可動域が狭くなってしまいます。結果として無理な力がかかり、すぐに疲労してしまいます。

日頃から肩甲骨を寄せる、開く、回すといったストレッチを入念に行いましょう。タオルを両手でピンと張り、そのまま腕を上げ、頭の後ろを通って背中側へ下ろす「タオルストレッチ」などは、肩甲骨の可動域を広げるのに非常に有効です。柔軟性が高まれば、ストロークが大きくなり、一かきで進む距離が伸びます。

体幹(コア)を安定させるプランク

不安定な水の上でバランスを取りながら力を発揮するには、強靭な体幹(コア)が必要です。体幹が弱いと、身体の軸がブレてしまい、せっかくのパワーが分散してしまいます。

最も基本的で効果的なのが「プランク」です。うつ伏せになり、肘とつま先だけで身体を支え、板のように真っ直ぐな姿勢をキープします。最初は30秒から始め、1分、2分と時間を伸ばしていきましょう。お腹の奥(インナーマッスル)を意識して固めることで、パドリング時のボードの揺れを抑え、安定した直進性を生み出すことができます。

まとめ:パドリングをマスターしてサーフィンをより楽しもう

まとめ
まとめ

サーフィンにおけるパドリングは、単なる移動手段ではなく、波に乗るための最も重要な基礎技術です。今回ご紹介したように、腕力に頼るのではなく、ボードの重心位置(トリム)を正しく捉え、背中の大きな筋肉を使って効率よく漕ぐことが、疲れないパドリングへの近道です。

記事のポイント振り返り

  • ボードの中心に乗り、胸を張って重心を安定させる。
  • 腕ではなく、広背筋と肩甲骨を使って水を引く。
  • リカバリー時は脱力し、ハイエルボーで効率よく水をキャッチする。
  • 進まないときは、目線、足の閉まり具合、手の軌道を確認する。
  • テイクオフ時はメリハリをつけ、最後はアゴを下げて重心移動。
  • 陸上トレーニングで必要な筋力と柔軟性を養う。

最初は意識することが多くて難しく感じるかもしれませんが、一つひとつのポイントを海で実践し、修正していくことで、必ず身体が覚えていきます。パドリングが楽になれば、それだけ多くの波に挑戦でき、サーフィン上達のスピードも加速します。ぜひ、次回のサーフィンではこれらのコツを意識して、快適なパドリングを目指してください。

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