サーフィン界で最もアイコニックなブランドの一つである「リップカール」。世界中のトップサーファーが愛用し、その革新的なテクノロジーとスタイリッシュなデザインは、多くの波乗りたちを魅了し続けています。これからウエットスーツを新調しようと考えている方の中には、リップカールの製品が気になっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、海外ブランドならではのサイズ感の違いや、多岐にわたるモデルの特性など、購入前に知っておくべきポイントはいくつか存在します。「種類が多くてどれを選べばいいかわからない」「海外製だとサイズが合わないのでは?」といった不安を持つ方もいるかもしれません。この記事では、リップカールウエットスーツの特徴や選び方を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
リップカールウエットスーツが世界中で愛される理由

リップカールは単なるサーフブランドではなく、サーフィン文化そのものを牽引してきた歴史的な存在です。オーストラリアのトーケイで創業されて以来、常にサーファーの視点に立った製品開発を行ってきました。ここでは、なぜリップカールがこれほどまでに世界中のサーファーから支持され続けているのか、その背景にあるブランド哲学や技術力について深掘りしていきます。
「The Search」の精神とブランドの歴史
リップカールの根底に流れているのは「The Search(探求)」というコンセプトです。これは、まだ見ぬ完璧な波を求めて旅をするという、サーファーなら誰もが共感する冒険心を表現しています。1969年の創業以来、この精神はすべての製品開発に反映されており、過酷な環境下でもサーファーを守り、最高のパフォーマンスを発揮できるウエットスーツを生み出す原動力となっています。
ブランドの歴史は、ブライアン・シンガーとダグ・ワーブリックという二人のサーファーによって始まりました。彼らは自分たちが着たいと思うウエットスーツをガレージで作り始め、それがやがて世界的な企業へと成長しました。この「サーファーによる、サーファーのためのブランド」という姿勢は今も変わらず、ミック・ファニングやガブリエル・メディナといった世界チャンピオンたちからのフィードバックを製品に直接反映させています。
世界最高峰の技術力と素材開発
リップカールのウエットスーツを語る上で欠かせないのが、その圧倒的な技術力です。特に「E-Bomb(イーボム)」や「Flashbomb(フラッシュボム)」といったシリーズ名を聞いたことがある方も多いでしょう。これらは単なるモデル名ではなく、その時代における最先端のネオプレン素材や製造技術の結晶でもあります。
例えば、独自の裏起毛素材である「フラッシュライニング」は、驚異的な速乾性と保温性を兼ね備えています。水が生地の層を通って素早く排出される仕組みになっており、一度海に入った後、2ラウンド目に向かう際も不快な冷たさを感じにくいのが特徴です。また、伸縮性に優れた「E6」や最新の「E7」ネオプレンは、まるで何も着ていないかのような自由な動きを可能にします。このように、常に素材の限界に挑戦し続けている点が、多くのファンを惹きつける理由です。
グローバルモデルとジャパンメイドの違い
日本国内で流通しているリップカールウエットスーツには、大きく分けて二つのラインが存在します。一つは世界共通の規格で作られた「グローバルモデル(インポート)」、もう一つは日本の高い技術で作られた「ジャパンメイド(日本製)」です。この二つには、価格やフィット感に明確な違いがあります。
グローバルモデルは、世界中で大量生産されるためコストパフォーマンスに優れていますが、欧米人の体型をベースに設計されていることが多いです。一方、ジャパンメイドは日本の職人が日本人の体型に合わせて丁寧に製造しており、フィット感や縫製の細やかさは世界随一と言われています。予算を重視して手軽に手に入れたい場合はグローバルモデル、最高のフィット感と品質を求める場合はジャパンメイドを選ぶなど、自分のニーズに合わせて選択肢があるのも魅力の一つです。
自分に合うのはどれ?主要モデルの違いと特徴

リップカールのウエットスーツにはいくつかの主要なシリーズがあり、それぞれターゲットとするユーザーや重視する機能が異なります。カタログを見ても「どれが自分に合っているのかわからない」と迷ってしまうこともあるでしょう。ここでは、代表的な4つのモデルについて、その特徴やおすすめのユーザー層を詳しく解説します。
Flashbomb(フラッシュボム):究極の暖かさと速乾性
「世界で最も乾きが早いウエットスーツ」というキャッチコピーを持つのが、このフラッシュボムシリーズです。最大の特徴は、内側に施された赤い起毛素材「フラッシュライニング」です。この素材は水を効率的に排出し、驚くほどの速さで乾燥します。冬の寒い時期や、1日に何度も海に入るサーファーにとって、濡れた冷たいウエットスーツを着る不快感から解放されることは大きなメリットです。
保温性も非常に高く、真冬のサーフィンでも体温を逃しません。さらに、最新モデルでは伸縮性も向上しており、「暖かさ」と「動きやすさ」を高次元でバランスさせています。寒がりな方や、冬の冷たい海でも長時間サーフィンを楽しみたい方には、間違いなくこのフラッシュボムが最良の選択肢となるでしょう。
E-Bomb(イーボム):最高の伸縮性と運動性能
パフォーマンスを最優先するコンペティターや、動きやすさを重視するサーファーに選ばれているのがイーボムシリーズです。このモデルの最大の特徴は、圧倒的な「ストレッチ性(伸縮性)」です。最新の「E6」や「E7」ネオプレンを惜しみなく使用し、パドリングやライディング時のストレスを極限まで減らしています。
多くのプロサーファーが大会で着用しているのもこのシリーズです。激しいアクションを妨げないよう、ファスナーを排除した「ジップフリー」システムを採用しているモデルも多く、肩周りの可動域が非常に広くなっています。保温性よりも軽さと動きやすさを求める春・秋のシーズンや、運動量の多いサーファーにとって、イーボムは最高のパートナーとなるはずです。
Dawn Patrol(ドーンパトロール):コスパと機能のバランス
「高性能なウエットスーツが欲しいけれど、予算は抑えたい」という方に最適なのがドーンパトロールシリーズです。リップカールのラインナップの中では中価格帯に位置しますが、上位モデルで培われた技術がしっかりと受け継がれています。耐久性と保温性、そして伸縮性のバランスが非常によく取れた優等生的なモデルです。
生地の一部に上位モデルと同じ「E5」ネオプレンを使用しつつ、価格を抑えるための工夫が施されています。週末サーファーや、初めてブランド物のウエットスーツを購入する方にとって、非常に満足度の高い選択肢です。「ドーンパトロール(夜明けの巡回)」という名の通り、朝一のサーフィンを日課とする熱心なサーファーたちを長年支え続けてきた、信頼のロングセラーモデルと言えます。
Omega(オメガ)/ Value Series:手軽に始められるエントリーモデル
サーフィンを始めたばかりの初心者や、夏場などの暖かい時期に気軽に使えるウエットスーツを探している方におすすめなのがオメガシリーズ(またはバリューシリーズ)です。リップカールの品質基準を満たしながらも、機能をシンプルにすることで手に取りやすい価格を実現しています。
安価とはいえ、基本的な保温性や耐久性は十分に確保されています。特にバックジップタイプが多く採用されており、着脱が簡単であることも初心者には嬉しいポイントです。「まずは手頃な価格でリップカールのウエットスーツを試してみたい」「予備としてもう1着持っておきたい」というニーズに応える、コストパフォーマンス最強のシリーズです。
失敗しないためのサイズ選びとフィッティングのコツ

ウエットスーツ選びで最も重要なのが「サイズ感」です。どんなに高機能なスーツでも、サイズが合っていなければ水が浸入したり、動きにくかったりと、その性能を発揮できません。特にリップカールのような海外ブランドを選ぶ際は、サイズ選びに特有の注意点があります。ここでは、失敗しないためのフィッティングのコツを詳しく見ていきましょう。
グローバルサイズと日本サイズの壁を知る
リップカールのウエットスーツを購入する際、まず確認すべきなのが「その商品がどの規格で作られているか」です。ネットショップなどで安価に販売されているものの多くは「グローバルモデル(インターナショナルサイズ)」です。これらは欧米人の体型に合わせて作られているため、日本人にとっては「腕や脚が長く、胸板や肩幅が狭い」と感じることが多々あります。
一方、日本の正規代理店経由で販売されている「ジャパンメイド」や「ジャパン企画」のものは、日本人の標準的な体型に合わせて設計されています。グローバルモデルの「Mサイズ」と日本企画の「Mサイズ」は全く別物だと考えてください。ネットで購入する際は、商品ページに「インターナショナルサイズ」や「海外規格」といった記載がないか、必ずチェックすることが大切です。
サイズチャートの正しい読み方と「MS」「LS」の意味
リップカールのサイズ表記には、S、M、Lだけでなく「MS」や「LS」といった見慣れない表記が登場することがあります。これは、海外ブランド特有の細かいサイズ展開です。例えば「MS(Mショート)」は、Mサイズの身幅で丈が少し短いもの、「LS(Lショート)」はLサイズの身幅で丈が短いものを指します。逆に「MT(Mトール)」は丈が長いモデルです。
日本人の体型でグローバルモデルを選ぶ場合、この「ショートサイズ(S付きのサイズ)」がフィットするケースがよくあります。身長だけで選んでしまうと手足が余ってしまうことがあるため、体重や胸囲、腹囲もしっかりと計測し、サイズチャートと照らし合わせることが重要です。特に「首回り」と「手首・足首」のフィット感は浸水を防ぐための生命線ですので、ここが緩くないかを確認しましょう。
試着時のチェックポイントとジップフリーの注意点
可能であれば、実際に試着してから購入することを強くおすすめします。試着の際は、ただ着るだけでなく、パドリングの動作(腕を回す)やテイクオフの動作(屈伸)をしてみてください。この時、首や脇の下が苦しくないか、逆に背中やお腹周りに大きな隙間ができないかを確認します。
また、最近主流の「ジップフリー」や「チェストジップ」のモデルは、開口部が狭いため、慣れていないと着脱に苦労することがあります。「サイズが小さすぎて着られない」と勘違いしてしまうこともありますが、コツを掴めばスムーズに着られます。試着室で汗だくになってしまうのはよくあることですが、一度着てしまえばフィット感は抜群です。脱ぎ着のしやすさと着用時の快適さ、どちらを優先するかを自分のスタイルに合わせて判断しましょう。
実際のユーザーはどう感じている?評判と口コミ

カタログスペックだけではわからない、実際の着心地や耐久性についてのリアルな声は非常に参考になります。ここでは、リップカールウエットスーツを実際に使用しているサーファーたちの評判や口コミを、良い面も気になる面も含めて紹介します。ユーザーの生の声を参考に、自分に合った1着を見極めましょう。
「とにかく動きやすい!」高評価のポイント
多くのユーザーから寄せられる最も多いポジティブな意見は、その「圧倒的な伸縮性」に関するものです。特にE-BombシリーズやFlashbombシリーズを使用したユーザーからは、「パドリングが軽い」「肩が回しやすい」といった声が多く聞かれます。独自のネオプレン素材の柔らかさは、長時間海に入っていても疲れにくいというメリットに直結しており、パフォーマンスを重視するサーファーから絶大な支持を得ています。
また、Flashbombの「速乾性」についても驚きの声が多数あります。「昼休憩の間に干しておいたら、午後のラウンドでは乾いていた」「冬の着替えの辛さが軽減された」という口コミは、このモデルの最大の売りが実用的であることを証明しています。デザインに関しても、「シンプルでかっこいい」「海外ブランドらしい色使いが良い」と評価する声が多く、機能と見た目の両立がファンを満足させているようです。
「サイズ選びが難しい…」注意が必要なポイント
一方で、ネガティブな口コミとして散見されるのが「サイズ感のミスマッチ」です。特にネット通販でグローバルモデルを購入したユーザーから、「袖が長すぎて余る」「膝の位置が合わない」「首回りが緩くて水が入ってくる」といった失敗談が寄せられています。これは前述した通り、欧米規格と日本人の体型の違いによるものが大半です。
また、耐久性に関しては意見が分かれます。「長持ちしている」という声がある一方で、「柔らかすぎて破けやすい気がする」「ラバー部分が爪で引っかいて切れてしまった」という声もあります。特にハイパフォーマンスモデルは生地が薄く柔らかいため、着脱時には丁寧な扱いが求められます。「動きやすさ」と「耐久性」はトレードオフの関係にあることを理解して選ぶ必要があるという、リアルな教訓と言えるでしょう。
プロサーファーや上級者からのフィードバック
上級者やプロショップのスタッフからの評価では、「リップカールのウエットスーツは、進化のスピードが速い」という点が挙げられます。毎年新しい素材やカッティングが導入されるため、常に最新のテクノロジーを体感できるブランドとして信頼されています。
また、ジャパンメイドのカスタムオーダーを利用している層からは、その品質の高さに絶賛の声が上がっています。「日本の職人の技術はやはり違う」「縫製が丁寧で水が入ってこない」といった評価は、価格以上の価値があることを示しています。予算が許すのであれば、ジャパンメイドのモデルを選ぶことで、サイズや耐久性に関する不安の多くは解消されるというのが、経験豊富なサーファーたちの一致した意見です。
購入後のメンテナンスと長持ちさせる秘訣

お気に入りのウエットスーツを手に入れたら、できるだけ長く快適に使いたいものです。ウエットスーツはゴム製品であり、紫外線や海水、皮脂汚れなどによって徐々に劣化していきます。しかし、正しいメンテナンスを行うことで、その寿命を大幅に延ばすことができます。ここでは、リップカールウエットスーツの性能を維持するためのケア方法を紹介します。
フラッシュライニング特有の洗い方
Flashbombなどに採用されている起毛素材「フラッシュライニング」は、非常にデリケートな素材です。洗う際は、生地を傷めないように優しく扱うことがポイントです。熱いお湯はゴムの劣化や接着剤の剥がれの原因になるため、必ず「水」または「ぬるま湯」を使用してください。
ウエットスーツ専用のシャンプーを使い、たらいやバケツの中で押し洗いをするのが基本です。この時、起毛部分を強く擦りすぎないように注意しましょう。汚れを落としたい一心でゴシゴシ洗うと、起毛が抜けたり、機能が低下したりする恐れがあります。しっかりとすすいだ後は、柔軟剤(ウエットスーツ用ソフナー)を使用することで、ゴムの硬化を防ぎ、起毛のふわふわ感を長持ちさせることができます。
乾燥と保管の正しい手順
洗い終わった後の乾燥方法も重要です。水分を含んだウエットスーツは非常に重いため、細いハンガーにかけると肩の部分に負荷がかかり、生地が伸びたり型崩れしたりしてしまいます。必ず肩幅の広い「ウエットスーツ専用ハンガー」を使用し、二つ折りにするようにして干すのがベストです。
干す場所は、直射日光の当たらない「風通しの良い日陰」を選んでください。紫外線はネオプレンゴムの天敵であり、長時間日光に当てるとゴムが硬くなり、ひび割れの原因となります。また、裏返しで干すことで、内側の乾きを早め、雑菌の繁殖や臭いを防ぐことができます。完全に乾いたら、折りたたまずにハンガーにかけた状態で、クローゼットなどの暗所に保管しましょう。折りたたんで保管すると、折り目に深いシワができ、そこから性能が低下してしまいます。
リペアとアフターサービスについて
どれほど丁寧に扱っていても、サーフィン中にフィンで切ってしまったり、経年劣化で浸水してきたりすることは避けられません。そんな時は、早めに修理(リペア)に出すことが大切です。小さな傷であれば、市販のウエットスーツ用ボンド(メルコテープなど)を使って自分で修理することも可能ですが、大きな破れや縫い目のほつれはプロに任せるのが安心です。
リップカールの正規取扱店で購入した製品であれば、メーカーの修理サービスを受けることができます(有償・無償は保証規定による)。特にジャパンメイドの製品は、製造元の工場でしっかりとした修理対応が受けられるケースが多いです。傷が浅いうちに直すことで修理費用も抑えられますし、スーツの寿命も延びます。「少し水が入ってくるな」と感じたら、放置せずに専門店に相談することをおすすめします。
まとめ:リップカールウエットスーツでサーフィンライフを快適に
ここまで、リップカールウエットスーツの魅力や選び方、メンテナンス方法について詳しく解説してきました。リップカールは、「The Search」の精神のもと、世界中のサーファーに最高の体験を提供し続けているトップブランドです。その革新的な技術力によって生み出される「Flashbomb」や「E-Bomb」といったモデルは、寒さや動きにくさといったストレスからサーファーを解放してくれます。
自分に最適な1着を選ぶためには、まず自分の優先順位(暖かさ、動きやすさ、価格など)を明確にすることが大切です。そして何より、サイズ選びには慎重になりましょう。グローバルモデルを選ぶ際はサイズチャートを熟読し、可能であればジャパンメイドの品質も検討してみてください。
適切なモデルを選び、正しいメンテナンスを行えば、リップカールのウエットスーツはあなたのサーフィンライフをより長く、より快適にサポートしてくれる頼もしい相棒となるはずです。新しいウエットスーツに身を包み、次の「The Search」へと出かけましょう。最高の波があなたを待っています。




