サーフィンを始めようと準備をしている中で、「サーフィンインナー」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。ウェットスーツやボードショーツ(海パン)の下に履くこのアイテムは、一見すると地味な存在に見えるかもしれません。しかし、実は快適なサーフィンライフを送るために欠かせない、非常に重要な役割を担っています。
「わざわざインナーを買う必要があるの?」「普通のパンツじゃダメなの?」そんな疑問を持つ方も多いはずです。この記事では、サーフィンインナーが必要とされる理由から、季節や目的に合わせた正しい選び方、そして長持ちさせるメンテナンス方法までを丁寧に解説します。初心者の方でも迷わず自分に合った一枚を見つけられるよう、わかりやすくお伝えします。
サーフィンインナーはなぜ必要?着用する4つの大きなメリット

サーフィンを快適に楽しむためには、道具選びが重要です。その中でもサーフィンインナーは、身体への負担を減らし、パフォーマンスを向上させるための縁の下の力持ちです。なぜ多くのサーファーがインナーを着用するのか、その具体的なメリットを見ていきましょう。
ウェットスーツ擦れ(股ズレ)の防止
サーフィン中に最も起こりやすいトラブルの一つが「股ズレ」や「ウェットスーツ擦れ」です。パドリングでボードに跨ったり、波待ちで座ったりする動作を繰り返すと、ウェットスーツの縫い目やゴムが肌に直接触れて摩擦を起こします。
特に海水を含んだ状態での摩擦は肌へのダメージが大きく、ひどい場合は痛みで歩くのが辛くなることもあります。サーフィンインナーを一枚挟むことで、肌とウェットスーツの間にクッションが生まれ、この痛みを劇的に軽減できます。快適に長時間海に入り続けるためには、肌を守ることが最優先です。
着替えの際のエチケットと安心感
サーフィンの着替えは、駐車場やビーチにある更衣室、あるいは車のアウトドアスペースで行うことが一般的です。多くのサーファーは「お着替えポンチョ」などを使って着替えますが、強風でポンチョがめくれたり、ふとした拍子に見えてしまったりするリスクはゼロではありません。
インナーを着用していれば、万が一の際も肌の露出を防ぐことができ、周囲へのエチケットとしても安心です。また、特に女性の場合は、水着のズレを気にせず着替えに集中できるため、精神的なストレスも軽減されます。大人のマナーとして、インナーの着用を推奨するサーフショップも増えています。
防寒対策と保温性の向上
水温が低い冬場のサーフィンでは、寒さ対策が死活問題になります。ウェットスーツ自体にも保温性はありますが、体温で温まった海水を逃さず、冷たい海水の浸入を防ぐためには、インナーのサポートが効果的です。
最近の防寒用インナーは、発熱素材や裏起毛素材を使用しており、魔法瓶のように熱を閉じ込める機能を持っています。これらを着用することで、真冬の海でも身体の芯を冷やしにくくなり、パフォーマンスの低下を防げます。寒がりな方にとっては、季節を問わず手放せないアイテムと言えるでしょう。
衛生面での清潔さキープ
レンタルウェットスーツを利用する場合や、自分のウェットスーツを長く大切に使いたい場合にもインナーは役立ちます。素肌に直接着用すると、皮脂や汗がウェットスーツの内部に付着しやすくなり、雑菌の繁殖や嫌なニオイの原因になります。
インナーを着ることで、直接的な汚れの付着を防ぎ、ウェットスーツ内部を清潔に保つことができます。特にレンタルの場合は、前の使用者の存在が気になることもありますが、インナーがあれば直接肌が触れる部分をカバーできるため、衛生的な不快感を減らすことができます。
季節やスタイルで使い分ける!インナーの主な種類と特徴

一口にサーフィンインナーと言っても、夏用のトランクスタイプから冬用の全身タイプまで、その種類は多岐にわたります。季節や着用するウェアに合わせて最適なものを選ぶことが、快適さへの近道です。
夏のトランクス下にはく「インナーパンツ」
夏場、ボードショーツ(サーフパンツ)だけで海に入るときに着用するのが「インナーパンツ」です。ボクサーパンツのような形状をしており、主な目的はトランクスのズレ防止と、メッシュライナーによる擦れの軽減です。
激しい波に巻かれた際、ボードショーツが脱げそうになったり、裾から中が見えそうになったりするのを防ぎます。また、ボードショーツの生地は乾きやすい反面、濡れると張り付いてシルエットが強調されることがありますが、インナーパンツを履くことでその心配も解消されます。デザイン性が高いものも多く、チラ見せを楽しむサーファーもいます。
ウェットスーツの下に着る「防寒インナー」
水温が下がる秋から冬、そして春先にかけて活躍するのが「防寒インナー」です。ウェットスーツの中に着込むことを前提に作られており、非常に薄手でありながら高い保温性を持っています。
長袖シャツタイプや、半袖、ノースリーブなど、上半身を温めるタイプが一般的です。素材には、水分を熱に変える吸湿発熱素材や、水を弾く撥水素材が使われていることが多く、ウェットスーツと肌の間で温かい空気の層を作ります。寒がりな方は、この防寒インナーを一枚追加するだけで、海に入っていられる時間が大幅に変わります。
全身をカバーする「フルスーツタイプ」
真冬の極寒期や、特に寒さが苦手な方におすすめなのが、つなぎのような形状をした「フルスーツタイプ」や、上下がつながった「ショートジョンタイプ」のインナーです。腰回りの隙間がないため、冷たい海水が背中から侵入した際の「ヒヤッ」とする感覚を最小限に抑えられます。
全身を均一に温められるのが最大のメリットですが、重ね着による動きにくさ(パドリングの重さ)を感じる場合もあります。そのため、伸縮性に優れた高品質な素材を選ぶことが重要です。最近では、関節部分の生地を薄くするなど、動きやすさを考慮した設計のものも増えています。
失敗しないサーフィンインナーの選び方と重要ポイント

初めてインナーを選ぶ際、何を見て決めれば良いのか迷ってしまうことがあります。デザインだけで選ぶと、海の中で不快な思いをすることもあります。ここでは、機能面で絶対に外せないチェックポイントを紹介します。
サイズ感とフィット感の確認
サーフィンインナー選びで最も重要なのがサイズ感です。陸上で着る下着とは違い、水に入ると生地が少し緩む傾向があります。そのため、基本的には「ジャストサイズ」か「ややタイトめ」を選ぶのが正解です。
サイズが大きすぎると、中で生地が余ってゴワゴワしたり、隙間に水が溜まって逆に身体を冷やしたりします。逆に小さすぎると血流が悪くなり、手足が冷える原因になります。また、ウエストゴムの締め付け具合も確認し、激しい動きでもズレない適度なホールド感があるものを選びましょう。
素材の機能性(速乾・発熱・伸縮)
素材選びは、快適性を大きく左右します。夏用であれば、ポリエステルやナイロンなどの「吸汗速乾性」に優れた素材が必須です。濡れてもすぐに乾き、さらっとした肌触りが持続するものが理想的です。
冬用であれば、保温性だけでなく「撥水性」や「伸縮性」も重要です。よくある間違いとして、日常用の温感インナー(ヒートテックなど)を使用してしまうことがありますが、これらは水を含むと乾きにくく、逆に体温を奪ってしまうため、サーフィンには不向きです。必ずサーフィンやマリンスポーツ専用に開発された素材のものを選んでください。
縫い目(シームレス)の有無
長時間肌に密着するインナーにおいて、縫い目の処理は非常に重要です。一般的な縫製だと、縫い目が盛り上がっており、それがウェットスーツに圧迫されて肌に食い込み、痛みや擦れの原因になります。
サーフィン用インナーの多くは、「フラットシーマー」と呼ばれる平らな縫製技術や、縫い目のない「シームレス加工」が施されています。購入の際は、インナーを裏返して縫い目を確認し、凹凸が少なく肌触りが滑らかなものを選ぶようにしましょう。この細かな違いが、海上がり後の肌トラブルを防いでくれます。
インナーパンツを履かない派もいる?メリットとデメリットを比較

サーファーの中には「インナーは履かない派」という人も一定数存在します。いわゆる「直履き」です。どちらが正解ということはありませんが、それぞれのスタイルの違いを理解しておくと、自分に合った方法が見つかります。
直履き(ノーインナー)の開放感とリスク
インナーを履かない最大のメリットは、その開放感です。締め付けがなく、素肌で自然を感じられる感覚を好むサーファーもいます。また、洗濯物が一つ減るという手軽さもあります。
しかし、リスクも伴います。前述した「股ズレ」が起きやすいだけでなく、ボードショーツの紐が解けた際の露出リスクや、砂が侵入した際の不快感がダイレクトに伝わります。特に海外製のボードショーツはメッシュライナーが付いていないものが多く、直履きすると生地の縫い目が直接デリケートゾーンに当たり、激しい痛み引き起こす可能性があるため注意が必要です。
トランクスの素材と相性
インナーを履くか履かないかは、ボードショーツ(トランクス)の素材や構造にも左右されます。最近の高機能なボードショーツは、4WAYストレッチ素材など非常に柔らかく肌触りの良い生地で作られており、インナーなしでも快適に過ごせるよう設計されているものもあります。
一方で、クラシックなデザインの硬いナイロン素材や、キャンバス地のような厚手のトランクスの場合は、インナーなしでは摩擦によるダメージが避けられません。自分の持っているボードショーツの裏地や素材感をチェックし、肌触りが少しでも気になるようであれば、インナーの着用を強くおすすめします。
最近のトレンドとマナー
近年のサーフシーンにおいて、インナーパンツの着用は「マナー」や「ファッション」の一部として定着しつつあります。特に多くの人が利用する海水浴場エリアや、初心者が多いポイントでは、不用意な露出を防ぐためにインナーを着用することが推奨されています。
また、ボードショーツのウエスト部分から、ブランドロゴが入ったインナーのゴムをチラリと見せるレイヤードスタイルも人気です。機能性だけでなく、おしゃれの一環としてインナーを楽しむサーファーが増えています。安全面とファッション面の両方から、インナー着用が今の主流と言えるでしょう。
長く使うために!インナーの正しい洗濯方法とメンテナンス

せっかく自分に合ったサーフィンインナーを手に入れても、間違ったケアを続けるとすぐに劣化してしまいます。特に海水や紫外線は生地にダメージを与える大敵です。ここでは、インナーの機能を維持し、長く使い続けるためのポイントを解説します。
脱いだらすぐに行うべきケア
海から上がったら、できるだけ早く「塩抜き」をすることが最も重要です。塩分を含んだまま放置すると、生地の繊維が痛み、伸縮性が失われてゴワゴワになってしまいます。
着替える際に、シャワーを浴びながらインナーも一緒に水洗いしてしまうのがベストです。もし現地で洗えない場合は、濡れたまま放置せず、ビニール袋に入れて持ち帰り、帰宅後すぐにたっぷりの水ですすぎ洗いをしましょう。お湯を使うと生地の接着面やゴムが劣化する恐れがあるため、必ず水かぬるま湯を使用してください。
洗濯機を使う際の注意点
基本的には手洗いが推奨されますが、毎回手洗いするのが面倒で洗濯機を使いたい場合もあるでしょう。その際は、必ず「洗濯ネット」に入れてください。他の洗濯物と絡まると、生地が伸びたり破れたりする原因になります。
また、洗剤は漂白剤や蛍光増白剤が入っていない「中性洗剤」を選びましょう。柔軟剤の使用は避けるのが無難です。柔軟剤は繊維をコーティングして肌触りを良くしますが、吸汗速乾性や撥水性などの機能低下を招くことがあります。メーカーのタグを確認し、指示に従うのが確実です。
劣化を防ぐ干し方と保管
洗濯後は、直射日光を避けて「陰干し」をします。紫外線はゴムやポリウレタン素材を劣化させ、伸縮性を奪う最大の要因です。風通しの良い日陰に干すことで、生地へのダメージを最小限に抑えられます。
干す際は、洗濯バサミで強く挟むと跡が残ったり生地が伸びたりするので注意が必要です。また、乾燥機の使用は厳禁です。熱による縮みや型崩れの原因となります。完全に乾いたら、畳んで湿気の少ない場所に保管しましょう。丁寧に扱えば、お気に入りのインナーを数シーズンにわたって快適に使い続けることができます。
まとめ:サーフィンインナーを活用して一年中快適なサーフィンライフを
サーフィンインナーについて、その必要性から選び方、メンテナンス方法まで詳しく解説してきました。たった一枚の薄い生地ですが、その役割は非常に大きく、サーフィンの快適さを劇的に変える力を持っています。
夏はボードショーツの下で股ズレや透けを防ぎ、冬はウェットスーツの下で体温を守ってくれるサーフィンインナー。初心者のうちは道具を揃えるのが大変かもしれませんが、肌トラブルや寒さでサーフィンが嫌いになってしまわないよう、早めに準備しておくことをおすすめします。
自分のスタイルや季節に合った最適なインナーを見つけて、ストレスフリーで波に乗る楽しさを存分に味わってください。快適な装備は、あなたの上達をきっと後押ししてくれるはずです。




