サーフィンは海の上で長時間過ごすため、地上とは比べものにならないほど強烈な紫外線を浴びます。「海から上がったら顔が真っ赤でヒリヒリする」「日焼け止めが目にしみて波待ちどころじゃない」「クリームで手が滑ってテイクオフを失敗した」そんな経験はありませんか?
これらはサーファーなら誰もが一度は通る悩みですが、実は「日焼け止めスティック」を正しく活用することで劇的に改善できます。スティックタイプは単なる日焼け対策だけでなく、サーフィンのパフォーマンスを維持するためにも非常に有効なアイテムです。
この記事では、なぜ多くのサーファーがスティックタイプを愛用するのか、その理由から具体的な選び方、そして絶対に焼かないための塗り方までをわかりやすく解説します。自分に合った一本を見つけて、紫外線やトラブルを気にせず快適なサーフィンライフを楽しみましょう。
サーフィン日焼け止めスティックが選ばれる3つの理由

サーフィン専用の日焼け止めにはクリーム、ローション、スプレーなど様々なタイプがありますが、なぜ上級者やプロサーファーほど「スティックタイプ」を愛用するのでしょうか。それには、過酷な海の環境でパフォーマンスを発揮するための明確な理由があります。
ここでは、スティックタイプがサーフィンに最適であると言われる主なメリットを3つに絞って解説します。
手が汚れずパドリングやテイクオフに影響しない
サーフィンにおいて最も重要な要素の一つが「グリップ力」です。一般的な乳液やクリームタイプの日焼け止めを手で顔に塗ると、どうしても手のひらに油分が残ってしまいます。そのまま海に入ると、パドリングでボードを掴む際や、いざ波に乗ろうとテイクオフする瞬間に手が滑ってしまい、決定的なチャンスを逃すことになりかねません。
スティックタイプであれば、容器を持って直接肌に塗り込むことができるため、手のひらを一切汚さずに済みます。これはサーファーにとって非常に大きなメリットです。指先がヌルヌルするストレスから解放され、常に万全の状態で波に向き合うことができます。
強力な耐水性で長時間の波待ちでも落ちにくい
海の中では常に水しぶきを浴び、ドルフィンスルーで何度も海中に潜ることになります。一般的なレジャー用の日焼け止めでは、数十分もすれば流れ落ちてしまい、効果がなくなってしまうことが多々あります。これでは長時間のラウンドには耐えられません。
サーフィン用に開発されたスティックタイプの日焼け止めは、油分やワックス成分をベースにした「バーム状」の固形物であることが多く、非常に高い耐水性(ウォータープルーフ性能)を持っています。肌にピタッと密着して物理的な膜を作るため、激しい動きや海水でも落ちにくく、長時間のサーフィンでも紫外線をブロックし続けてくれます。
液だれしにくく目にしみるトラブルを防ぐ
「波待ちをしている最中に、汗や海水とともに日焼け止めが目に入って激痛が走る」という経験は、サーファーにとって最大の敵の一つです。目が開けられなくなると、周囲の状況確認ができなくなり危険なだけでなく、せっかくのいい波を見逃してしまう原因にもなります。
スティックタイプは固形のため、体温で温まっても液状になりにくく、塗った場所に留まる性質があります。そのため、額や目の周りに塗っても汗で垂れてくることが少なく、目にしみるリスクを大幅に軽減できます。コンタクトレンズを使用しているサーファーにとっても、この「垂れてこない」という特徴は非常に心強いポイントです。
ピンポイントで厚塗りして物理的にガードできる
顔全体に均一に塗るクリームとは異なり、スティックタイプは特に焼けやすい部分を「重ね塗り」するのに適しています。鼻の頭、頬の高い位置、おでこなど、紫外線が直撃する部分にグリグリと厚く塗ることで、紫外線を物理的に遮断する強力なシールドを作ることができます。
サーファーが顔の一部を白く(あるいは肌色に)厚塗りしている姿をよく見かけますが、あれはスティックならではの防御方法です。薄く伸ばすのではなく「層」を作ることで、絶対に焼きたくない部分を徹底的に守ることが可能になります。
失敗しない!サーフィン用スティックの選び方

いざ日焼け止めスティックを買おうと思っても、売り場にはたくさんの種類が並んでいて迷ってしまうかもしれません。サーフィンという特殊な環境下で使うものだからこそ、普段使いのものとは違う基準で選ぶ必要があります。
ここでは、購入してから後悔しないためにチェックしておくべき重要なポイントを4つ紹介します。
SPF50+とPA++++は基本中の基本
まず確認すべきは、紫外線防御指数のスペックです。海上の紫外線は、上空から降り注ぐ太陽光だけでなく、海面からの照り返し(反射)も加わるため、陸上の数倍の強さになると言われています。
そのため、肌が赤くなる炎症(サンバーン)を防ぐ「SPF」は最大値の「50+」、肌の奥まで届きシワやたるみの原因となる(サンタン)を防ぐ「PA」は「++++(フォープラス)」のものを選びましょう。サーフィン用として販売されているスティックの多くはこの基準を満たしていますが、念のためパッケージ裏面を確認することをおすすめします。
カラー選びは「見える安心」か「目立たない自然さ」か
スティックタイプには、大きく分けて「色付き」と「クリア(透明)」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分のスタイルに合ったものを選びましょう。
【色付きタイプ(ホワイト・ベージュ・ブラウン)】
塗った場所がはっきりと目に見えるため、塗り残しや落ちてしまった箇所が一目でわかります。物理的な膜としての効果も高く、最強の防御力を誇ります。サーファーらしい「ガッツリ対策」をしたい人におすすめです。
【クリアタイプ(透明)】
塗っても顔が白くならないため、見た目を気にする人や、電車やバスで海に行く人に人気です。ただし、塗れているかどうかが目視で確認しにくいため、意識してまんべんなく塗る必要があります。
最近では、肌の色に馴染みやすい「スキンカラー」や「ベージュ」も人気です。白浮きしすぎず、かつ塗っていることは確認できるバランスの良いタイプと言えます。
季節や水温に合わせた硬さ(テクスチャー)
意外と見落としがちなのが、スティックの「硬さ」です。スティックは油分やワックスで固められているため、気温によって硬さが変化します。
冬の寒い時期に硬すぎるスティックを使うと、肌の上で伸びず、無理に塗ろうとして肌を傷めてしまうことがあります。逆に、真夏の炎天下で柔らかすぎるものを使うと、ドロドロに溶けてしまい厚塗りができません。「夏用(ハード)」や「冬用(ソフト)」といった表記があるブランドもあるので、季節に合わせた使い分けをするとストレスなく塗ることができます。
環境に配慮した「リーフセーフ」処方
サーファーとして海を愛するならば、環境への影響も考慮したいところです。一般的な日焼け止めに含まれる「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」といった紫外線吸収剤は、サンゴの白化現象を引き起こす原因の一つとされています。
ハワイやパラオなど一部の地域では、これらの成分を含む日焼け止めの使用が法律で禁止されています。日本国内でも、海を守るために「ノンケミカル」や「紫外線吸収剤不使用」と書かれた、ミネラル成分(酸化亜鉛や酸化チタン)ベースのものを選ぶサーファーが増えています。パッケージに「Reef Safe(リーフセーフ)」などのマークがあるかどうかも、選ぶ際の一つの基準にしてみてください。
絶対に焼かない!効果的な塗り方のテクニック

どれだけ高性能な日焼け止めスティックを手に入れても、塗り方が間違っていては効果半減です。サーフィン中は波に揉まれ、手で顔を拭ってしまうこともあるため、日常よりもはるかに強固な「守り」が必要です。
ここでは、プロサーファーも実践している、紫外線を徹底的にブロックするための効果的な塗り方を紹介します。
薄く伸ばすのはNG!「置いていく」イメージで厚塗りする
普段の乳液タイプの日焼け止めは「肌に馴染ませて薄く伸ばす」のが一般的ですが、サーフィン用のスティックは全く逆です。「伸ばす」のではなく「肌の上に層を乗せる」イメージで塗ってください。
スティックを肌に押し当て、グリグリと円を描くようにして厚く塗ります。特に色付きのスティックを使う場合は、肌の色が見えなくなるくらいしっかりと色が乗る状態が正解です。指で馴染ませて透明にしてしまうと、物理的な防御壁としての機能が弱まってしまうため、塗ったままの状態をキープしましょう。
ベースとトップの「ダブル使い」で最強ガード
より完璧な対策を目指すなら、スティック一本で済ませるのではなく、クリームタイプとの併用がおすすめです。これを「ダブル使い」と呼びます。
まず、顔全体にウォータープルーフのクリームタイプ(またはローションタイプ)の日焼け止めをムラなく塗ります。これをベースとして肌に馴染ませます。その上から、特に日焼けしやすい鼻、頬、おでこなどの「ハイライトゾーン」にスティックを重ね塗りします。「全体防御」の上に「局所防御」を重ねることで、万が一どちらかが落ちても肌を守り抜くことができます。
2時間おき、または1ラウンドごとの塗り直し
いくら「スーパーウォータープルーフ」であっても、2時間も海に入っていれば効果は徐々に薄れてきます。また、顔を手で拭ったり、リーシュコードが顔に当たったりする物理的な摩擦で剥がれてしまうこともあります。
「今日は1日サーフィンするぞ」という日は、一度海から上がって休憩するタイミングで必ず塗り直しを行いましょう。このとき、肌についた水分や塩分をタオルで優しく押さえるように拭き取ってから塗るのがコツです。濡れたまま塗るとスティックが定着せず、すぐに流れてしまいます。
目にしみる問題とサーフィン後の落とし方

日焼け止めスティックを使用する上で避けて通れないのが、「目への刺激」と「落としにくさ」の問題です。これらを適切に対処することで、サーフィン中もその後も快適に過ごすことができます。
ここでは、トラブルを未然に防ぐ方法と、肌への負担を減らすケアについて解説します。
目にしみにくい成分と塗り方の工夫
日焼け止めが目にしみる主な原因は、紫外線吸収剤などの化学成分やアルコールが目に入ることです。これを防ぐためには、まず成分選びが重要です。「紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)」や「酸化亜鉛ベース」のスティックは、比較的目にしみにくいと言われています。
また、塗り方にも工夫が必要です。目のキワぎりぎりまで塗るのではなく、目の周り数ミリはあえて空けておくか、そこだけは非常に硬めのスティックを使って絶対に垂れないようにするなどの対策が有効です。もし入ってしまった場合に備えて、海用の目薬を車に常備しておくのも良いでしょう。
強力な日焼け止めは「オイルクレンジング」が必須
サーフィン用の日焼け止めスティックは、水や汗で落ちないように油分やワックスを多く含んでおり、非常に強力な撥水性を持っています。そのため、普通の洗顔料や石鹸だけで落とそうとしても、水を弾いてしまい全く落ちません。
落とす際は、必ず「クレンジングオイル」や「日焼け止め専用リムーバー」を使用しましょう。乾いた手のひらにオイルを取り、日焼け止めと馴染ませるように優しくくるくるとマッサージします。汚れが浮き上がってきたら、少量の水を加えて乳化させ、その後にしっかりと洗い流します。最後に洗顔料でダブル洗顔を行えば、毛穴に残った汚れもすっきりと落とせます。
メモ: クレンジングシートは手軽ですが、物理的に擦る必要があるため、日焼け後のデリケートな肌には刺激が強すぎる場合があります。できるだけオイルで浮かせて落とす方法をおすすめします。
サーフィン後の保湿ケアで肌トラブル回避
紫外線を浴びた後の肌は、見た目が赤くなっていなくても乾燥し、軽い火傷状態になっています。日焼け止めを落とした後は、すぐに十分な保湿ケアを行いましょう。
化粧水をたっぷりと浸透させ、乳液やクリームで蓋をします。もし赤みやほてりがある場合は、冷えたタオルで冷やしたり、アロエジェルなどの鎮静効果のあるアイテムを使ったりするのも効果的です。このアフターケアをしっかり行うかどうかで、数年後の肌の状態(シミやシワ)に大きな差が出ます。
ウェットスーツに付いた日焼け止めの落とし方
色付きのスティックを使っていると、着替えの際やサーフィン中にウェットスーツの首回りなどに付着してしまうことがあります。放置すると繊維の奥に入り込んで取れなくなるだけでなく、ワックス成分が生地を傷める原因にもなります。
付着してしまった場合は、メイク落とし用のクレンジングオイルを汚れた部分に少量垂らし、指で優しく揉み出してから、中性洗剤(ウェットスーツ用シャンプーなど)で洗い流すと綺麗に落ちます。ブラシなどで強く擦ると生地(ジャージ部分)が毛羽立ってしまうので注意してください。
まとめ
今回は、サーファーにとっての必須アイテムである「日焼け止めスティック」について、選び方から活用術まで詳しく解説してきました。最後に記事の要点を振り返りましょう。
【この記事のポイント】
・スティックの利点:手が汚れず滑らない、目にしみにくい、水に強く長時間持続する。
・選び方:SPF50+/PA++++は必須。用途に合わせて色(ホワイト/クリア)や硬さを選ぶ。
・塗り方:薄く伸ばさず「厚塗り」が鉄則。ベース(クリーム)との併用で防御力アップ。
・落とし方:強力なため石鹸では落ちない。必ずオイルクレンジングを使用する。
・環境配慮:海を守るために、ノンケミカルやリーフセーフ成分のものを選ぶ。
日焼け対策は、単に肌を黒くしないためだけのものではありません。日焼けによる疲労を軽減し、翌日の仕事や生活に疲れを残さないため、そして何より長く健康にサーフィンを続けるための重要なコンディショニングの一つです。
自分にぴったりのサーフィン日焼け止めスティックを見つけて、強い日差しの中でも思いっきり波乗りを楽しんでください。



