サーフィンと一言で言っても、実はその種類はとても多彩です。「海の上を滑る」という基本は同じでも、使うボードの長さや形、そして波に乗るスタイルによって、楽しみ方はまったく異なります。これからサーフィンを始めたいと考えている方の中には、「自分にはどのボードが合っているのかわからない」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
サーフィンの種類を知ることは、自分にぴったりのプレイスタイルを見つけるための第一歩です。ゆったりと波と調和したいのか、アクティブに技を決めたいのか、あるいは安全第一で楽しみたいのか。目的によって選ぶべき道具は変わってきます。
この記事では、代表的なサーフボードの種類や素材の違い、そしてサーフィンのスタイルについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。あなたに最適な「サーフィンの種類」を見つけて、素晴らしいオーシャンライフをスタートさせましょう。
サーフィンの種類は主に4つ!まずは基本のボードを知ろう

サーフィンを分類する際、最も分かりやすい基準となるのが「ボードの長さと形状」です。一般的に、ボードが長ければ長いほど浮力があり安定しやすく、短いほど動きが機敏になります。ここでは、現在のサーフィンシーンで主流となっている4つの代表的なボードの種類について詳しく解説します。
1. ロングボード:安定感抜群で優雅なクルージング
ロングボードは、長さが9フィート(約274cm)以上の大きなサーフボードを指します。サーフィンの歴史の中で最も古くから存在するスタイルであり、その最大の魅力は圧倒的な「安定感」と「浮力」です。ボード自体に大きな体積があるため、パドリング(手で漕ぐ動作)が非常に進みやすく、小さな波や力の弱い波でも楽にキャッチすることができます。
海の上をゆったりとクルージングするような感覚は、ロングボードならではの醍醐味です。ボードの上を歩く「ウォーキング」や、ボードの先端に立つ「ノーズライディング」といったクラシックな技を楽しむことができます。体力に自信がない方や、激しい動きよりも波との一体感を楽しみたい方に特に人気があります。
また、波が小さい日でも楽しめるため、日本の平均的なコンディションにおいて出番が多いのも特徴です。ただし、ボードが大きく重いため、持ち運びや保管場所には事前の確認が必要です。
2. ショートボード:スピードと切れ味鋭い技が魅力
ショートボードは、一般的に6フィート(約183cm)前後の、先端が尖った形状のボードです。オリンピックの競技種目としても採用されており、現在のサーフィン界で最もポピュラーな種類と言えます。ロングボードに比べて浮力が少ないため、波に乗るためのパドリングにはある程度の体力と技術が必要ですが、その分、操作性は抜群です。
ショートボードの魅力は、なんといってもスピーディーでアクロバティックな動きです。波の斜面を縦横無尽に駆け抜けたり、空中に飛び出す「エアー」などの派手なアクションを決めたりすることが可能です。波のサイズがある程度大きく、パワーのあるコンディションでその真価を発揮します。
また、波の下を潜り抜けて沖に出る「ドルフィンスルー」という技術が使いやすいため、サイズのある波に向かっていく際には有利です。運動量が多く、スポーツとしてサーフィンを極めたい方や、アクティブなスタイルを好む方に適しています。
3. ファンボード(ミッドレングス):いいとこ取りの万能選手
ファンボードは、ショートボードとロングボードの中間の長さに位置するボードで、近年では「ミッドレングス」とも呼ばれ、非常に人気が高まっている種類です。長さはおおよそ6.6フィートから8フィート(約200cm〜240cm)程度のものが主流です。名前の通り、「楽しむ(Fun)」ことを最優先に設計されています。
このボードの最大の特徴は、ロングボードに近い安定感を持ちながら、ショートボードのような操作性も兼ね備えている点です。「ショートボードは難しそうだけど、ロングボードだと大きすぎて扱いが不安」という方に最適です。テイクオフ(波に乗って立つ動作)も速く、ある程度ボードを動かして曲がる楽しさも味わえます。
初心者の最初の1本として選ばれることも多く、また上級者がリラックスして波乗りを楽しむためのセカンドボードとしても重宝されています。波のサイズを選ばず幅広く遊べるため、1本持っているとサーフィンの幅が大きく広がるでしょう。
4. ソフトボード:安全性と手軽さで急上昇中の人気
近年、爆発的に普及しているのがソフトボード(スポンジボード)です。従来のサーフボードは硬い樹脂でコーティングされていますが、ソフトボードは表面が柔らかいスポンジ素材で覆われています。そのため、万が一自分や他人にボードがぶつかっても怪我をするリスクが低く、安全性が非常に高いのが特徴です。
以前は「初心者向けの練習用ボード」というイメージが強かったのですが、最近ではプロサーファーが楽しんで乗るような高性能なモデルも多数登場しています。非常に浮力が強く設計されているため、誰よりも早く波に乗ることができ、小波の日でも驚くほど楽しめます。
価格も通常のボードに比べて手頃なものが多く、耐久性も高いため、家族でサーフィンを楽しみたい方や、キッズサーファー、そして「まずは気軽に始めてみたい」という未経験者に最もおすすめできる種類の一つです。
ボードの長さだけじゃない?形状(シェイプ)による違い

サーフボードの種類を決めるのは、長さだけではありません。ボードの先端や後端の形、底面の反り具合など、細かな形状(シェイプ)の違いが乗り味に大きく影響します。ここでは、見た目にも分かりやすい形状の違いと、それがサーフィンにどう作用するのかを解説します。
ノーズの形:尖っているか、丸いか
ボードの先端部分を「ノーズ」と呼びます。この形状は大きく分けて「ポインテッドノーズ(尖っている)」と「ラウンドノーズ(丸い)」の2種類があります。ショートボードに多いポインテッドノーズは、水の抵抗が少ないため動きが軽く、鋭いターンをするのに適しています。また、ドルフィンスルーで波の下に潜りやすいのもメリットです。
一方、ロングボードやファンボードに多いラウンドノーズは、先端まで幅があるため浮力が大きくなります。これにより、パドリング時の安定感が増し、波に押される力を受けやすくなるため、テイクオフが非常に速くなります。初心者が波に乗る感覚を掴むには、このラウンドノーズの方が圧倒的に有利です。
テールの形:乗り味を変える重要なパーツ
ボードの後端部分である「テール」の形状も、乗り味を左右する重要な要素です。代表的なものに「スカッシュ」「ラウンド」「フィッシュ」などがあります。
「スカッシュテール」は角が少し丸まった四角い形状で、最も一般的です。安定感と操作性のバランスが良く、どんな波にも対応できるオールラウンダーです。「ラウンドテール」は全体が丸く、水流をスムーズに受け流すため、滑らかなターンが得意です。
特徴的なのが、魚の尾ひれのような形をした「フィッシュテール」です。波の力を捉えやすく、幅広の形状が多いため、パワーのない小波でもスピーディーに走ることができます。見た目もスタイリッシュで、オルタナティブ系のボードによく採用されています。
フィンの数:1本、2本、3本以上の違い
ボードの裏側に付いている足ひれのようなパーツを「フィン」と呼びます。このフィンの数と配置によって、ボードの動きは劇的に変わります。
最も基本となるのが3本のフィンが付いた「トライフィン(スラスター)」です。操作性と安定性のバランスが最高で、現在のショートボードの主流となっています。初心者からプロまで、あらゆるレベルに対応します。
1本だけの「シングルフィン」は、ロングボードやレトロなボードに見られます。急な方向転換は苦手ですが、波のパワーに合わせて直線的に滑る、優雅なライン取りが魅力です。2本の「ツインフィン」は、ボードが回転しやすく、スピードが出やすいのが特徴で、自由度の高い乗り味を楽しめます。
さらに、4本の「クアッドフィン」もあり、これは水の抵抗が少なくスピードが出やすいうえに、ターン時のグリップ力も高いという特性があります。
素材で乗り味が変わる!代表的なボードの材質

サーフボードの種類を語る上で欠かせないのが「素材」です。見た目は似ていても、中身の素材が違うと、重さ、浮力、しなり具合、そして価格や耐久性が異なります。現在は主に3つの素材が市場に流通しています。
PU(ポリウレタン):伝統的なスタンダード素材
PU(ピーユー)は、サーフボードの歴史の中で長年使われてきた最もポピュラーな素材です。ウレタンフォームという芯材を、ポリエステル樹脂で固めて作られています。プロサーファーが試合で使用するボードの多くもこの素材です。
特徴は、適度な「重さ」と「しなり」があることです。この重さが風の強い日や荒れた海面でもボードを安定させ、波の面にしっとりと張り付くような乗り心地を生み出します。また、しなりを利用してターンの伸びを出すことができます。
ただし、衝撃にはやや弱く、ぶつけると凹んだり割れたりしやすいというデメリットがあります。水が染み込みやすいため、傷がついたらすぐにリペア(修理)が必要です。価格は比較的抑えられているものが多く、種類も豊富です。
EPS(エポキシ):軽くて丈夫な現代の主流
EPS(イーピーエス)は、発泡スチロールのような軽量な芯材を、強度の高いエポキシ樹脂で固めた素材です。近年、初心者用から上級者用まで幅広く普及しています。
最大の特徴は「軽さ」と「浮力の強さ」です。同じサイズのPUボードと比べると圧倒的に軽く、持ち運びが楽なだけでなく、水に浮く力が強いためテイクオフが速くなります。また、エポキシ樹脂は硬くて丈夫なので、PUに比べて壊れにくいというメリットもあります。
乗り味は、水の上にポンと浮いているような軽快感があります。小波やパワーのない波でもスピードが出やすいのが魅力です。一方で、風が強い日には軽すぎてボードが煽られやすかったり、硬いために波の衝撃を拾いやすかったりすることもあります。
ソフトトップ:安心安全なスポンジ素材
先ほどの「サーフィンの種類」でも触れたソフトボードに使われているのが、このソフトトップ素材です。芯材にはEPSなどを使用していますが、表面(デッキ面)やレール部分を柔らかいスポンジ素材や特殊なソフト素材でコーティングしています。
この素材の最大のメリットは、やはり「安全性」と「耐久性」です。コツンとぶつけた程度では壊れませんし、身体に当たっても大きな怪我につながりにくいため、混雑した海でも心理的な余裕が生まれます。
また、吸水しにくい素材で作られているものが多く、メンテナンスが非常に楽です。ワックス(滑り止め)を塗らなくても乗れるタイプや、表面がザラザラ加工されているものもあります。リラックスしてサーフィンを楽しみたい日や、家族や友人とボードを共有する場合に最適な素材です。
サーフィンのスタイルも多種多様!楽しみ方の違い

ボードの種類がハードウェア(道具)の話だとすれば、こちらはソフトウェア(心構えや遊び方)の話です。サーフィンには、どのような波乗りを目指すかによって大きく3つのスタイルに分類されます。自分がどのスタイルに憧れるかを知ることも、道具選びの重要なヒントになります。
メモ:
最初は区別がつかないかもしれませんが、YouTubeやInstagramで様々なサーファーの動画を見ると、自分の好みのスタイルが直感的にわかってきます。
コンペティション(競技)スタイル
コンペティションスタイルは、サーフィンを「スポーツ」として捉え、技術の高さや難易度を追求するスタイルです。ショートボードを使用することが多く、定められた時間内でどれだけ多くの技を決められるか、どれだけ際どいセクションを攻められるかを重視します。
オリンピックや世界大会(WSL)などで見られるのがこのスタイルで、スピード、パワー、フロー(流れ)が評価基準となります。常に向上心を持ち、トレーニングや練習を重ねて上達していく過程に喜びを感じる人に向いています。
もちろん、大会に出ることだけが全てではありませんが、「もっと上手くなりたい」「あんな技ができるようになりたい」という目標を持って、ストイックに海に通う姿勢もこのスタイルの一部と言えるでしょう。
クラシックスタイル
クラシックスタイルは、1950〜60年代のサーフィン黄金期を彷彿とさせる、優雅で芸術的なスタイルです。主に重量のあるシングルフィンのロングボードを使用します。波を切り刻むような激しい動きはせず、波のパワーと調和しながら、ダンスを踊るようにライディングします。
代表的なテクニックは、ボードの先端に足を掛ける「ハングファイブ」や「ハングテン」、そして力を抜いてリラックスした姿勢で滑る「トリム」などです。技の難易度や点数よりも、「いかにスタイリッシュで美しいか」が重要視されます。
ファッションや音楽などのカルチャーとも結びつきが強く、レトロでおしゃれな雰囲気を好むサーファーに愛されています。「波と一体になる感覚」を最も純粋に楽しめるスタイルとも言えます。
オルタナティブ(フリーサーフ)スタイル
「コンペティションでもない、クラシック一辺倒でもない」という、自由な立ち位置にあるのがオルタナティブスタイルです。フリーサーフスタイルとも呼ばれます。使用するボードは、ツインフィンのフィッシュボードや、ミッドレングスなど、個性的で多様な種類が含まれます。
このスタイルの最大の魅力は「ルールに縛られない自由さ」です。誰かと点数を競うわけではなく、自分が気持ちいいと感じるラインを描き、その日その時の波に合わせて道具を選びます。ショートボードのような動きをミッドレングスで試みたり、古いデザインのボードを現代風に乗りこなしたりと、実験的な要素も含んでいます。
「ただ純粋に波乗りを楽しみたい」「人と同じボードはつまらない」という感性を持つサーファーに支持されており、現代のサーフシーンで非常に注目されているおしゃれなスタイルです。
【初心者向け】失敗しないサーフィンの種類の選び方

ここまで様々な種類を紹介してきましたが、これからサーフィンを始める初心者は結局どれを選べば良いのでしょうか?見た目の好みだけで選んでしまうと、「難しすぎて全然乗れない」という挫折につながりかねません。ここでは、最初の1本を選ぶための確実なポイントを解説します。
最初は「浮力」と「安定性」を最優先にする
初心者がサーフィンで最初につまずく壁は、「パドリングが進まない」ことと「ボードの上に立てない」ことです。これを解決してくれる唯一の要素がボードの「浮力」と「安定性」です。
憧れだけで最初から薄くて細いショートボードを選んでしまうと、バランスを取るだけで精一杯になり、波に乗るどころではありません。まずは、自分の体重に対して十分すぎるほどの浮力があるボードを選びましょう。具体的には、ロングボード、長めのファンボード、あるいは浮力たっぷりのソフトボードが最適です。
「たくさん波に乗れること」が上達への一番の近道です。まずは安定したボードで波に乗る楽しさを知り、基礎ができてから短いボードに挑戦するというステップを踏むことを強くおすすめします。
自分の体格や体力に合わせたサイズ選び
ボード選びにおいて、自分の身長や体重は非常に重要なデータです。同じボードでも、体重60kgの人が乗るのと80kgの人が乗るのとでは、水への沈み方が全く異なり、乗り味も変わってきます。
サーフボードには「リッター数(L)」という体積を表す数値が記載されていることが多く、これが浮力の目安になります。初心者の場合、適正リッター数よりもかなり多めの余裕を持ったサイズを選ぶのが正解です。
また、普段あまり運動をしていない方や体力に不安がある方は、パドリングを助けてくれるロングボードやソフトボードを選ぶと、疲れにくく長時間楽しめます。逆に、若くて体力があり、スノーボードやスケートボードの経験がある方なら、少し短めのファンボードから始めても順応できるかもしれません。
目指したいスタイルから逆算して選ぶ
「とにかくまずは波に乗ってみたい」という場合はソフトボードが最強ですが、将来的にどうなりたいかというビジョンも少し考慮に入れてみましょう。
もし将来的にショートボードでバシバシ技を決めたいのであれば、最初はファンボード(ミッドレングス)から始めて、徐々に短くしていくのがスムーズです。最初からロングボードに慣れすぎてしまうと、動きの違いに戸惑うことがあるからです。
逆に、ゆったりとしたスタイルに憧れるなら、最初から迷わずロングボードを選びましょう。ロングボードの技術は奥が深く、一生かけて楽しめる世界です。
いずれにせよ、最初のボードは「練習用」と割り切って、中古ボードや安価で高性能なソフトボードを購入し、上達してから本当に欲しい「マジックボード」を手に入れるという方法も賢い選択です。
・最優先:ソフトボード または ロングボード
・体力がある/ショート志向:ファンボード(ミッドレングス)
・避けるべき:ペラペラの薄いショートボード(上達を妨げます)
まとめ:自分に合ったサーフィンの種類を見つけて海を楽しもう
サーフィンの種類について、ボードの形状、素材、そしてスタイルの観点から解説してきました。サーフィンは単に波に乗るだけでなく、道具選びから自分らしさを表現できる奥深いスポーツです。
記事のポイントを振り返ります。
まず、ボードの種類には大きく分けて「ロングボード」「ショートボード」「ファンボード」「ソフトボード」の4つがあります。特に初心者は、浮力があり安全なソフトボードや、安定感抜群のロングボードから始めることで、挫折せずに波乗りの楽しさを体感できるでしょう。
次に、ボードの形状(ノーズやテールの形)や素材(PU、EPS、ソフトトップ)によっても、乗り味やメンテナンス性が大きく異なります。自分のレベルや保管環境に合わせて選ぶことが大切です。
そして何より、サーフィンには「コンペティション」「クラシック」「オルタナティブ」といった多様なスタイルが存在します。どれが正解ということはありません。大切なのは、あなたが海でどのように過ごしたいか、どんな感覚を味わいたいかです。
最初は迷うことも多いかと思いますが、まずはレンタルやスクールでいくつかの種類のボードを試してみるのも良い方法です。実際に波に乗ってみて、「これだ!」と感じる感覚を大切にしてください。あなたにぴったりのサーフィンの種類が見つかれば、海で過ごす時間がこれまでの何倍も素晴らしいものになるはずです。



