サーフィンを始めようと思ったとき、あるいは少し慣れてきたころに多くの人が直面するのが「自分にはどんなサーフィンスタイルが合っているのだろう?」という疑問です。
サーフィンスタイルとは、単に選ぶボードの種類だけを指すのではありません。波へのアプローチ方法やライディングの姿勢、さらには海上がりや街中でのファッション、そして海と向き合うマインドセットまでを含んだ総合的なライフスタイルそのものを意味します。
アグレッシブに波を切り裂くスタイルもあれば、ゆったりと波と一体化するスタイルもあります。この記事では、多様なサーフィンスタイルの種類や特徴、そして自分らしいスタイルを見つけるためのヒントを詳しくご紹介します。
あなたにぴったりのスタイルが見つかれば、サーフィンライフはもっと深く、楽しいものになるはずです。それぞれの違いを知り、自分が「心地よい」と感じる方向性を一緒に探っていきましょう。
サーフィンスタイルの基本!ボードの種類で変わる魅力と特徴

サーフィンスタイルを最も大きく決定づける要素、それが「サーフボードの種類」です。ボードの長さや形状によって、波の上でできる動きや楽しみ方が劇的に変わります。
ここでは代表的なボードの種類と、それぞれのスタイルが持つ独自の魅力について解説します。まずは自分がどんなふうに波に乗りたいかをイメージしてみましょう。
ボード選びで変わるスタイルの違い
・ショートボード:鋭いターンやアクション重視
・ロングボード:優雅なクルージングと歩く動作
・ミッドレングス:リラックスと操作性のバランス
・ボディボード・SUP:視点や道具が異なる新しい楽しみ
アグレッシブに攻める「ショートボード」
ショートボードは、その名の通り長さが短いサーフボードのことで、一般的に6フィート(約183cm)以下のものを指します。先端が尖っており、薄くて軽量なのが特徴です。
このスタイルの最大の魅力は、高い運動性能にあります。波の斜面を縦横無尽に駆け上がり、鋭いターンを決めたり、波の頂点から空中に飛び出す「エアリアル」といった派手な技に挑戦したりすることが可能です。
オリンピックなどの競技サーフィンで主流となっているのもこのスタイルです。体力やバランス感覚が求められるため、スポーツとしてストイックに技術を磨きたい方や、スリルとスピード感を味わいたい方に最適です。波のパワーゾーンを敏感に感じ取り、素早く反応するダイナミックな動きは、見る人を圧倒する迫力があります。
優雅に波と一体化する「ロングボード」
ロングボードは9フィート(約274cm)以上の長さがあり、先端が丸みを帯びているのが特徴です。浮力が非常に大きいため、小さな波や力のない波でも楽に乗ることができます。
ロングボードのスタイルは「優雅さ」と「フロー(流れ)」がキーワードです。ショートボードのように激しく動くのではなく、波のリズムに合わせてゆったりとクルージングする感覚は、このボードでしか味わえない至福の時間です。
また、ボードの上を歩いて先端に足を掛ける「ノーズライディング」という高度なテクニックもロングボードの醍醐味です。クラシックな雰囲気を愛し、リラックスして海を楽しみたい方、あるいは体力に自信がない方でも長く楽しめるスタイルとして幅広い世代に愛されています。
自由な楽しみ方が魅力の「ミッドレングス」
ショートボードとロングボードの中間の長さ、概ね6フィート後半から8フィート台のボードを使用するのがミッドレングス(ファンボード)のスタイルです。
近年、世界的に爆発的な人気を集めているスタイルであり、その理由は「いいとこ取り」の性能にあります。ロングボードのようなテイクオフ(波に乗る動作)の速さと、ショートボードに近い操作性を兼ね備えているため、波のコンディションを選ばずに楽しむことができます。
「ガツガツ波を取り合うのは疲れたけれど、ロングボードほど重いのは大変」という方や、「大人の余裕を持ってスムーズに滑りたい」という方にぴったりです。決まった型にはまらず、自分の感覚で自由に波と遊ぶことができる、懐の深いスタイルと言えるでしょう。
気軽に始められる「ボディボード・SUP」
サーフボードの上に立つことだけがサーフィンではありません。海を楽しむ方法はもっと多様です。ボディボードは、腹ばいになって波に乗るスタイルで、目線が水面に非常に近いため、体感速度が速くスリル満点です。
フィン(足ひれ)を使って推進力を得るため、泳ぎが苦手な人でも波を捕まえやすく、女性や子供にも人気があります。また、SUP(スタンドアップパドルボード)は、大きなボードの上に立ち、パドルを使って漕ぎ進むスタイルです。
波がない日は海上散歩を楽しんだり、波があればロングボードのように波乗りをしたりと、状況に合わせて遊び方を変えられるのが魅力です。これらのスタイルは「波に乗る」という純粋な喜びを、より手軽に、あるいは違った視点から教えてくれます。
魅せるか競うか?ライディングスタイルの違い

同じボードに乗っていても、目指す方向性によって「ライディングスタイル」は大きく異なります。美しさを追求するのか、それとも高難度の技を競うのか。
ここでは、サーファーたちが憧れる代表的なライディングの方向性を3つに分けてご紹介します。自分がどのサーファーの映像を見て「かっこいい」と感じるかが、スタイル選びのヒントになります。
芸術性を追求する「クラシックスタイル」
クラシックスタイルは、1960年代のサーフィン黄金期を彷彿とさせる、伝統的で美しい乗り方です。主にシングルフィン(フィンが1枚だけ)の重たいロングボードを使用し、激しい動きを極力抑えます。
このスタイルの真髄は「脱力」と「所作の美しさ」にあります。膝を内側に入れた独特の立ち姿や、力を抜いてリラックスした状態で波の斜面を滑走する姿は、まるでダンスを踊っているかのような優雅さがあります。
無理に波をコントロールしようとせず、波の力に身を委ねて一体化することを重視します。「スタイルマスター」と呼ばれる熟練のサーファーたちは、指先の動き一つにもこだわりを持ち、波乗りの芸術性を極めています。
技術とスピードを競う「パフォーマンススタイル」
現代のコンテストシーンで主流となっているのがパフォーマンススタイルです。主に3本のフィンが付いた軽量なボードを使用し、スピード、パワー、フローの3要素を高次元で融合させたライディングを目指します。
波の最もパワーのある部分(ポケット)で、スプレー(水しぶき)を大きく上げながら鋭角にターンしたり、回転技を決めたりと、アスリートとしての身体能力が存分に発揮されます。
「いかに難易度の高い技を成功させるか」「いかに速く波を駆け抜けるか」という点に重きが置かれるため、トレーニングや反復練習が欠かせません。自分の限界に挑戦し、目に見える技術の向上に喜びを感じる人に向いているスタイルです。
独自の個性を楽しむ「オルタナティブスタイル」
コンテストの点数や流行にとらわれず、純粋に「乗る感覚」や「道具の面白さ」を追求するのがオルタナティブスタイルです。フィッシュ(魚の尾のような形状)やツインフィン(フィンが2枚)など、個性的で実験的なボードを好んで使用します。
このスタイルを選ぶサーファーは、波に合わせてボードを乗り換えたり、誰も乗らないような波で独特のライン(軌道)を描いたりすることに喜びを見出します。いわば「サーフィンの実験室」のような自由さがあります。
「人と同じはつまらない」「自分だけの乗り味を見つけたい」というクリエイティブな思考を持つ人に愛されており、近年ではファッションやアートとも深く結びついたカルチャーとして注目されています。
陸でも海でも輝く!サーフファッションのスタイル

サーフィンスタイルは海の中だけで完結するものではありません。陸に上がった後の服装、いわゆる「サーフファッション」も、その人のスタイルを表す重要な要素です。
自分が好むサーフィンの種類とファッションはリンクすることが多く、トータルでコーディネートすることでより深い満足感が得られます。代表的な3つのファッションスタイルを見ていきましょう。
王道の「カリフォルニア・西海岸スタイル」
サーフィンと言えばこのスタイルを思い浮かべる人も多いでしょう。アメリカ西海岸の開放的な空気をまとった、明るくカジュアルなファッションです。
色あせたようなヴィンテージ加工のTシャツ、膝上のボードショーツ(水着)、そして足元はVANSのスニーカーやビーチサンダルが定番です。ネルシャツやデニム素材をラフに着崩すのも特徴的です。
「気取らないカッコよさ」が最大の魅力で、海から上がってそのままハンバーガーショップに行けるような、陽気でラフな雰囲気が漂います。年齢を問わず愛される、サーフファッションの原点とも言えるスタイルです。
洗練された都会派「アーバン・シティサーフ」
「海も好きだけど、都会的な生活も大切にしたい」という現代のサーファーに支持されているのが、アーバン・シティサーフスタイルです。
モノトーンやネイビー、カーキといった落ち着いた色味を基調とし、シルエットもすっきりとした細身のものが好まれます。機能的なアウトドア素材を使いながらも、デザインはシンプルで街中に溶け込むように洗練されています。
仕事の合間にサーフィンを楽しむ人や、カフェでパソコンを開くようなライフスタイルを持つ人にマッチします。海辺の野暮ったさを排除し、スマートで知的な印象を与える大人のサーフスタイルです。
自然と調和する「エシカル・エコスタイル」
海という大自然をフィールドにするサーファーとして、環境への配慮をファッションに取り入れるスタイルも増えています。
オーガニックコットンやリサイクル素材を使用したウェアを選び、長く着られる高品質なものを大切に使うという考え方です。パタゴニアなどの環境保護に力を入れているブランドを好んで着用することが多い傾向にあります。
アースカラーと呼ばれる自然界にある色(ベージュ、グリーン、ブラウンなど)を多用し、ナチュラルで優しい雰囲気が特徴です。「自然を愛するサーファーだからこそ、身につけるものにも責任を持ちたい」という内面的な美意識が、そのままファッションスタイルとして表現されています。
あなたはどのタイプ?性格や目的から選ぶスタイル

ここまで道具やファッションについて解説してきましたが、最終的にスタイルを決めるのは「あなたの心」です。サーフィンに何を求めているかによって、選ぶべき道は変わってきます。
性格や目的別に、おすすめのサーフィンスタイルを分類してみました。自分がどのタイプに当てはまるか考えてみましょう。
| タイプ | キーワード | おすすめのスタイル |
|---|---|---|
| アスリート志向 | 挑戦・成長・達成感 | ショートボード パフォーマンス |
| ヒーリング志向 | 癒やし・脱力・自然 | ロングボード クラシック |
| エンジョイ志向 | 仲間・笑顔・共有 | ミッドレングス ファンサーフ |
成長と達成感を味わいたい「アスリート志向」
「昨日の自分よりも上手くなりたい」「難しい技をメイクしたい」という向上心が強い方には、ショートボードやパフォーマンススタイルが向いています。
このタイプの方は、サーフィンを単なる遊びではなく、スポーツや自己研鑽の場として捉える傾向があります。早起きしてトレーニングをしたり、自分のライディング動画を分析したりすることに苦を感じません。
波に乗れたときのスリルや、壁を乗り越えたときの強烈な達成感は、他の何にも代えがたいものです。常に目標を持って取り組むことで、充実したサーフィンライフを送ることができるでしょう。
癒やしとリラックスを求める「ヒーリング志向」
「日々の仕事のストレスを忘れたい」「ただ海に浮かんでいたい」という癒やしを求める方には、ロングボードやクラシックスタイルが最適です。
波に乗る回数や技の数にこだわる必要はありません。沖に出て波待ちをしているときの静けさや、夕日が沈む美しい景色を眺める時間を大切にします。ゆったりと大きなラインを描いて波に乗る感覚は、精神的なデトックス効果も抜群です。
競い合うことなく、自分のペースで自然と調和することを楽しむ。そんな豊かな時間を過ごしたい方にとって、海は最高のセラピストになってくれるはずです。
仲間と楽しみたい「エンジョイ志向」
「友達とワイワイ波乗りしたい」「家族で海を楽しみたい」というコミュニケーション重視の方には、ミッドレングスやソフトボード(スポンジ素材の柔らかいボード)を使ったスタイルがおすすめです。
難しいことは考えず、波に乗れたら笑顔でハイタッチをする、そんな明るい雰囲気を好みます。どんな波でも楽しめる道具を選ぶことで、コンディションに左右されずに仲間との時間を共有できます。
キャンプとサーフィンを組み合わせたり、サーフィン後のバーベキューを楽しんだりと、海を中心とした遊びの輪を広げていくことに喜びを感じるタイプです。サーフィンを通じて多くの友人と繋がれるのも、このスタイルの大きな魅力です。
憧れのスタイルを確立するために意識したいポイント

自分にとって理想のサーフィンスタイルが見えてきたら、次はそれを形にしていきましょう。「スタイルがあるサーファー」になるためには、単に道具を揃えるだけでなく、いくつかの意識すべきポイントがあります。
ここでは、ブレない自分のスタイルを確立するための具体的なアドバイスをご紹介します。
自分の「好き」を体現する道具選び
スタイル確立の第一歩は、自分が本当に気に入った道具を使うことです。「流行っているから」「店員さんに勧められたから」という理由だけで選ぶのではなく、デザインや色、ブランドの背景にあるストーリーに共感できるかどうかが大切です。
例えば、レトロなスタイルが好きなら、ウェットスーツも最新のハイテク素材ではなく、あえてクラシックなカッティングのものを選んでみるのも良いでしょう。ボードのカラーリングを自分のラッキーカラーでオーダーするのも素敵です。
愛着のある道具を使っていると、自然と海へ向かう足取りも軽くなり、大切に扱うようになります。その「道具への愛情」が、サーファーとしての雰囲気を深めてくれるのです。
メモ: 初心者のうちは中古ボードから始めて、自分の好みがわかってきてから新品のオーダーボードを作るのも賢い方法です。
上手いサーファーの動画でイメージトレーニング
理想の動きを身につけるためには、良いお手本を見ることが近道です。YouTubeやSNSで、自分が「こんなふうに乗りたい」と思うサーファーを探してみましょう。
世界的なプロサーファーだけでなく、地元の海でかっこよく乗っているローカルサーファーでも構いません。その人がどのように波を待っているか、テイクオフの瞬間の視線はどこか、手の使い方はどうかなど、細部まで観察します。
繰り返し動画を見て脳内にイメージを焼き付けることで、実際の海でも無意識にその動きに近づこうと体が反応します。憧れの対象を持つことは、スタイル形成における最強の道しるべとなります。
ローカルルールとマナーを守る大切さ
どれほどサーフィンの技術が高くても、マナーを守れないサーファーは「スタイルが良い」とは言えません。むしろ、真にかっこいいサーファーほど、周囲への配慮や海へのリスペクトを忘れないものです。
「ワンマンワンウェイブ(1つの波に1人)」の原則を守る、混雑しているときは譲り合う、ゴミは必ず持ち帰る。こうした基本的なルールを徹底することは、サーファーとしての品格を作ります。
海の上では誰もが平等です。挨拶を交わし、笑顔で波を譲り合う余裕を持つこと。その心の豊かさこそが、最終的にあなたのサーフィンスタイルを完成させる最も重要なピースとなるでしょう。
まとめ:自分だけのサーフィンスタイルを見つけて海のある生活を楽しもう
サーフィンスタイルには、ボードの種類からライディングのアプローチ、ファッション、そしてマインドセットに至るまで、無限の選択肢があります。
アグレッシブに挑戦するのも、ゆったりと癒やされるのも、全てはあなたの自由です。大切なのは、誰かの真似をして無理をすることではなく、自分が心から「楽しい」「心地よい」と感じられるスタイルを見つけることです。
最初は迷うこともあるかもしれませんが、海に通い続けるうちに、自然と自分らしい形が出来上がっていきます。ぜひこの記事を参考に、あなただけのサーフィンスタイルを見つけ、素晴らしいサーフィンライフを送ってください。




