サーフィンを始めるとき、ボードやウェットスーツと同じくらい重要なのが「水着選び」です。海水浴用の水着で海に入り、波に巻かれて脱げそうになった経験はありませんか?サーファーにとっての水着は、単なるファッションアイテムではなく、激しい動きから体を守り、快適に波に乗るための「ギア(道具)」の一つです。この記事では、サーフィンに特化した水着の選び方から、絶対にズレないための機能、そしてスタイルと実用性を兼ね備えた人気ブランドまでを詳しく解説します。男女それぞれのポイントや、長く使うためのケア方法まで網羅しましたので、ぜひあなたのパートナーとなる一着を見つけてください。
サーファー水着はここが違う!ズレないための重要ポイント

サーフィン専用の水着と、一般的なレジャー用水着の決定的な違いは「ホールド力」と「機能性」にあります。波のパワーは想像以上に強く、ただ浸かっているだけなら問題ない水着も、ドルフィンスルーやワイプアウト(波に巻かれること)の瞬間に簡単にズレたり外れたりしてしまいます。まずは、サーファーが水着に求めるべき基本的なスペックについて理解を深めましょう。
激しい水圧に耐えられる「固定力」の仕組み
サーフィン中は、全方向から強い水圧がかかります。特に波に巻かれたときは、洗濯機の中にいるような状態になり、紐だけで結ぶタイプの水着や、生地面積の小さいビキニは簡単に外れてしまうリスクがあります。そのため、サーファー向けの水着は、紐がほどけにくい構造になっていたり、ゴムバンドが幅広く設計されていたりと、物理的に「脱げない」工夫が施されています。
例えば、トップスのアンダー部分は細い紐ではなく、しっかりとしたゴムや帯状の生地で体を一周するデザインが好まれます。これにより、万が一結び目が緩んでも、水着自体が体から離れてしまうことを防げます。金具(ホック)ではなく、自分の力で強く結べるタイプや、被るだけのスポーツブラタイプが主流なのはこのためです。
また、肩紐の構造も重要です。首の後ろで結ぶホルターネックは首に負担がかかりやすいため、背中でクロスするタイプや、肩甲骨の動きを邪魔しないデザインが選ばれます。パドリングという腕を回す動作を繰り返すサーフィンにおいて、肩回りのストレスフリーさはパフォーマンスに直結します。
摩擦やすれを防ぐ「素材」と「縫製」
サーファーはボードの上に腹ばいになってパドリングをするため、水着とボード、あるいは水着と肌との間で常に摩擦が起きています。一般的なファッション水着に使われる装飾(フリルや大きなリボン、金属チャームなど)は、ボードに当たって痛みの原因になったり、ワックスが絡みついたりするため、サーフィンには不向きです。
サーフブランドが開発する水着は、表面が滑らかで凹凸の少ないデザインが基本です。さらに、生地自体も厚手で耐久性のある素材が使われていることが多く、岩や珊瑚、あるいはボードの滑り止め(デッキパッド)に擦れても破れにくいよう設計されています。縫い目が肌に食い込まない「フラットシーマ縫製」などが採用されているものを選べば、長時間の入水でも擦れ傷(サーファーズイヤーならぬサーファーズラッシュ)を軽減できます。
動きやすさを追求したカッティング技術
「動きやすさ」も非常に重要な要素です。サーフィンは全身運動であり、特に股関節や肩回りの可動域が制限されると、テイクオフの動作が遅れる原因になります。しかし、動きやすさを重視して布面積を減らしすぎると、今度はズレるリスクが高まるというジレンマがあります。
優れたサーファー水着は、このバランスが絶妙に計算されています。例えば、ボトムスはお尻を包み込むようなデザインでありながら、足の付け根部分はカットを工夫して足上げをスムーズにしています。また、海外ブランドの製品には「ブラジリアンカット」のように布面積が小さいものもありますが、これは単にセクシーなだけでなく、生地が余らない分、水の抵抗を受けにくいという機能的なメリットもあるのです。自分のスキルや好みに合わせて、安心感のあるフルカバータイプか、動きやすさ重視のカットかを選ぶことが大切です。
失敗しないサーフィン用水着の選び方【レディース編】

女性サーファーにとって、水着のズレやポロリ(意図しない露出)は最大の懸念事項です。サーフィンに集中するためには、デザインの可愛さだけでなく、構造上の安全性を最優先に選ぶ必要があります。ここでは、具体的な形状や機能に注目して、失敗しない選び方を解説します。
絶対に外さない「スポーツブラ・クロップド型」
現在、多くの女性サーファーから支持されているのが、スポーツブラタイプやクロップド(丈が短めのトップス)型のビキニです。これらは頭から被って着用するタイプが多く、背中や首の紐が波の衝撃で解ける心配がありません。胸元がしっかりとカバーされているため、前からの水圧でカップがズレて胸が露わになる事故も防げます。
特に首元が詰まった「ハイネック」や「アメリカンスリーブ」のデザインは、上からの水の侵入を物理的にブロックしてくれます。パドリング中に胸元を気にする必要がなく、紫外線対策としても有効です。選ぶ際は、アンダーバストのゴムが太く、体にしっかりフィットするものを選びましょう。試着の際は、腕を大きく回してみて、裾が上がってこないかを確認するのがポイントです。
安心感No.1の「ワンピース・ボディスーツ型」
「絶対に水着を直したくない」「日焼けも気になる」という方には、ワンピースタイプ(サーフスーツ)が最適です。上下が繋がっているため、どんなに激しいワイプアウトをしても、ボトムスが脱げたりトップスが捲れ上がったりすることが物理的にあり得ません。最近では長袖タイプも増えており、ラッシュガードを重ね着する必要がないのも魅力です。
ワンピースタイプを選ぶ際の注意点は「着脱のしやすさ」と「トイレ事情」です。背中にファスナーがあるバックジップタイプは紐が付いていないと一人で閉めるのが難しいため、胸元にファスナーがあるフロントジップタイプがおすすめです。フロントジップなら、暑いときに少し開けて体温調節をすることも可能です。サイズ選びは、陸上で「少しきついかな?」と感じるくらいのピッタリサイズが、水中ではジャストフィットします。
メモ:水に入ると生地は若干伸びる性質があります。陸上で快適すぎるサイズは、水中で緩くなる可能性があるため、試着時は密着度を重視しましょう。
ボトムスは「ドローコード」と「食い込み」を確認
ボトムス(ショーツ)選びで最も重要なのは、ウエスト部分に調節可能な紐(ドローコード)が付いているかどうかです。ただのゴムだけのボトムスは、ドルフィンスルーで波の下を潜り抜ける際や、波に巻かれた際に、水流でそのまま脱げてしまう危険性が高いです。腰ひもをしっかりときつく結べるタイプであれば、そのリスクを大幅に減らせます。
また、お尻の「食い込み」対策も必要です。サーフィン中はお尻に力が入るため、どうしても生地が中心に寄ってしまいがちです。これを防ぐには、生地のフチに「滑り止め加工(シリコンテープなど)」が施されているものや、縫い目にゴムがしっかり入っているものを選びましょう。最近では、あえて食い込んでも気にならないギャザー入りのデザインや、サイドが太めのバンドになっているタイプも人気です。
避けるべき水着のデザインとは
逆に、サーフィンには不向きなデザインも知っておく必要があります。まず「三角ビキニ」は、布面積が小さく紐で支える構造上、横からの衝撃でカップが移動しやすく、非常に危険です。「バンドゥタイプ(ストラップレス)」も、肩紐がないため水に入った瞬間に腹部まで下がってしまう可能性があります。
さらに、大きなフリル、リボン、金属のチャームなどの装飾が多い水着も避けましょう。これらはパドリングの際にボードと体の間に挟まって痛みを伴ったり、ウェットスーツの下に着る際にゴワゴワして不快感の原因になります。サーフィン用の水着は「シンプル・イズ・ベスト」。装飾よりも、カッティングの美しさや柄で個性を出すのがサーファースタイルです。
メンズサーファー必見!ボードショーツとインナーの常識

男性サーファーの場合、選択肢は「ボードショーツ(サーフパンツ)」がメインとなりますが、ただの海パンなら何でも良いわけではありません。快適にサーフィンを続けるためには、ショーツの機能性と、意外と見落とされがちな「インナーパンツ」の存在が鍵を握ります。
サーフィン専用ボードショーツの機能性
街履きもできる水陸両用のショートパンツと、サーフィン専用のボードショーツには明確な違いがあります。専用のものは「ストレッチ性」が非常に高く、4方向に伸びる素材(4WAYストレッチ)が採用されていることが多いです。これは、ボードにまたがったり、膝を深く曲げたりするサーフィンの動作を妨げないためです。
また、丈の長さも重要です。膝下まである長い丈は、濡れると重くなり、膝に生地が引っかかってテイクオフの動作を遅らせることがあります。最近のトレンドかつ機能的なのは、膝上丈(19インチ〜20インチ程度)です。縫い目を極力減らしたシームレス加工や、撥水加工が施された軽量モデルを選ぶことで、長時間のサーフィンでも股擦れなどのトラブルを軽減できます。
なぜインナーパンツが必要なのか
「ボードショーツの下はノーパンでいいの?」という疑問を持つ初心者の方は多いですが、サーフィンにおいてはインナーパンツの着用を強くおすすめします。理由は主に3つあります。1つ目は「擦れ防止」です。ボードショーツの縫い目や生地がデリケートゾーンに直接触れた状態で激しく動くと、摩擦で皮膚が傷つくことがあります。
2つ目は「ホールド感」です。サーフィン中は激しい動きを繰り返すため、サポート力のあるインナーを履くことでポジションが安定し、不快感を防げます。3つ目は「衛生面と透け防止」です。色の薄いボードショーツは水に濡れると透けることがあり、また、波待ち中にクラゲやプランクトンが隙間から入ってくるのを防ぐ物理的なガードの役割も果たします。ボクサータイプやサポータータイプなど、自分に合うものを必ず一枚用意しましょう。
ウエストの固定は「紐」が鉄則
レディースと同様、メンズのボードショーツもウエストが「ゴム」だけのものは避けましょう。ゴムタイプのトランクスは、強い波に巻かれた際に一発で脱げてしまう可能性があります。必ずウエスト部分に紐が通っており、自分の腰回りに合わせてきつく縛れる「ドローコード」仕様のものを選んでください。
特にサーフィン専用ブランドのボードショーツは、この紐に「ロック機能」が付いていたり、ほどけにくい特殊な織り方の紐を採用していたりと、細かい部分で工夫されています。サイズ選びの際は、紐で調整できる範囲内で、腰骨にしっかり引っかかるジャストサイズを選ぶのが基本です。
機能性とスタイルを両立!人気のサーフ系水着ブランド

機能性を重視するとデザインが地味になりがちですが、人気サーフブランドのアイテムなら、その両方を高いレベルで満たしてくれます。ここでは、世界中のサーファーから愛用されている信頼のブランドをいくつかご紹介します。それぞれのブランドが持つ特徴やこだわりを知ることで、自分に合った一着が見つかりやすくなります。
Seea(シーア)
カリフォルニア発の「Seea」は、女性サーファーのために作られた、今最も注目されるブランドの一つです。「サーフィンをしていても絶対にズレない、乱れない」というコンセプトのもと、レトロでエレガントなデザインと驚異的な機能性を両立しています。厚手の生地と計算されたカッティングは、まるで体の一部のようにフィットします。露出を抑えつつも女性らしさを引き立てるデザインが多く、大人の女性サーファーから絶大な支持を得ています。
Patagonia(パタゴニア)
アウトドアブランドの巨塔「Patagonia」の水着は、その機能性において右に出るものはいません。特に「ナノグリップ」と呼ばれるシリーズは、水に濡れると肌への密着度が増すという特殊なマイクロファイバー裏地を採用しており、激しい波の中でも驚くほどズレません。環境への配慮も徹底しており、リサイクル素材の使用やフェアトレード縫製など、サステナブルな選択をしたいサーファーにも最適です。
メモ:パタゴニア製品は製品保証が手厚く、万が一破損しても修理対応をしてくれる場合が多いため、長く愛用できます。
ROXY(ロキシー) / Billabong(ビラボン)
サーフブランドの王道である「ROXY」や「Billabong」は、初心者からプロまで幅広い層に対応する豊富なラインナップが魅力です。日本人の体型に合わせたジャパンフィットモデルも多く展開されているため、サイズ選びで失敗しにくいのが嬉しいポイントです。トレンドを取り入れた鮮やかなプリント柄や、機能的なラッシュガードとのセットアップなど、トータルコーディネートが楽しみやすいブランドです。
特にBillabongの「Surf Capsule」シリーズなどは、ウェットスーツ素材を使用したビキニやワンピースがあり、保温性とクッション性に優れているため、肌寒い日のサーフィンや、あばら骨の痛み軽減にも役立ちます。
Domestic Brands(国内ブランド)
日本の波と日本人の体型を知り尽くした国内ブランドも忘れてはいけません。「Lepidos(レピドス)」や「Axxe Classic(アックスクラシック)」のレディースラインなどは、日本人の肌色に馴染むカラーリングや、過度な露出を抑えた上品なデザインが特徴です。海外ブランドだとサイズ感が合わない、胸元の開きが気になるといった悩みを持つ方は、国内ブランドをチェックしてみると、シンデレラフィットする一着に出会えるかもしれません。
サーフィン中のトラブルを防ぐプロの対策テクニック

最高の一着を手に入れたら、さらに快適にサーフィンを楽しむための「プラスアルファ」の対策を知っておきましょう。ここでは、水着のズレ防止の裏技や、サーファーの大敵である日焼けや怪我から身を守るコーディネート術、そして水着を長持ちさせるケア方法について解説します。
「ポロリ」を防ぐ結び方と重ね着術
紐で結ぶタイプの水着を着る場合、ほどけにくい結び方をマスターすることは必須スキルです。基本の蝶々結びをする前に、一度結び目をくぐらせて摩擦を増やす「二重結び」や、蝶々結びの輪っか部分をもう一度結ぶ「固結び」を組み合わせることで、強度は格段に上がります。
さらに安心感を高めるなら、「水着の重ね着」も有効なテクニックです。装飾のないシンプルなビキニの上から、サーフ用のトップスやラッシュガードを重ねたり、ボトムスの下にインナーショーツを履いたりすることで、万が一外側の水着がズレても肌が露出するのを防げます。このレイヤードスタイルは、ファッションとしても楽しめるため、色合わせを工夫して個性を出すのもおすすめです。
ラッシュガードとレギンスの正しい活用法
水着だけでサーフィンをするのは開放的で気持ちが良いですが、長時間海に入っていると様々なリスクがあります。その解決策となるのがラッシュガードとサーフレギンスです。これらは単なる日焼け対策だけでなく、「擦れ」や「生物」からの保護具として非常に優秀です。
パドリングでお腹や胸がボードと擦れて赤くなるのを防ぐには、ラッシュガードが必須です。また、海にはクラゲやチンクイ(甲殻類の幼生)など、刺されると痛痒い生物が沢山います。特に足元は無防備になりがちなので、トレンカやレギンスを着用することで、これらの被害を最小限に抑えることができます。水着の上からこれらを着用することで、水着のズレ防止にもなり、一石三鳥の効果があります。
サーフ小物の役割まとめ
・ラッシュガード:日焼け防止、ボードとの摩擦軽減、体温低下の抑制
・サーフレギンス:クラゲ・チンクイ対策、日焼け防止、足の怪我予防
・サーフハット:頭皮の日焼け防止、直射日光による疲労軽減、視界確保
お気に入りを長く使うためのメンテナンス
サーフィン用の水着は、海水、紫外線、ワックス、砂など、過酷な環境にさらされます。特に気をつけるべきは「砂」です。細かい砂が繊維の奥に入り込むと、生地が伸びたり黒ずんで見えたりする原因になります。海から上がったら、まずは真水でしっかりと海水を洗い流し、その際に繊維を広げるようにして優しく砂を押し出すのがコツです。
洗濯機や脱水機の使用は、型崩れや生地の劣化(ゴムの伸び)を早めるため、基本的には手洗いを推奨します。また、直射日光は変色や弾力性の低下を招くので、必ず風通しの良い日陰で干すようにしましょう。ウェットスーツと同様に、水着も毎回丁寧にケアすることで、その機能性(フィット感)を長く維持することができます。
まとめ
サーファーにとっての水着は、安全に、そして快適に波と戯れるための大切なパートナーです。デザインの好みだけで選んでしまうと、海の中でズレや脱げを気にしてばかりで、せっかくのサーフィンを楽しめなくなってしまいます。「ズレない固定力」「摩擦に強い素材」「動きやすいカッティング」の3点を軸に選び、必要に応じてラッシュガードやインナーを組み合わせるのが正解です。
女性ならスポーツブラタイプやワンピース、男性ならストレッチの効いたボードショーツとインナーパンツの組み合わせが、最も失敗の少ない選択肢と言えるでしょう。信頼できるサーフブランドのアイテムを選べば、機能性はもちろん、海に映えるスタイルも手に入ります。ぜひ今回の記事を参考に、あなたのサーフィンライフを支える最高の一着を見つけて、心置きなく波乗りを楽しんでください。



